宇文莫珪

宇文莫珪（うぶん ばくけい）

宇文莫珪（生没年不詳）は、鮮卑宇文部の大人であり、宇文丘不勤の子。宇文遜昵延の父。彼の名は史書によって異なり、『魏書』では道武帝拓跋珪の諱を避けて宇文莫廆、『晋書』や『資治通鑑』では宇文莫圭と表記される。

生涯

父の後を継いで宇文部の大人となった宇文莫珪は、その治世において宇文部を大いに発展させた。彼は自ら単于を称し、その勢威は塞外の諸部族を畏怖させたという。

拓跋部との関係

元康9年（299年）、宇文莫珪は子の宇文遜昵延を拓跋部に朝貢させ、拓跋禄官の長女を娶らせることで、両部の関係を強化した。

慕容部との抗争

太安元年（302年）12月、宇文莫珪は弟の宇文屈雲に命じ、慕容部の周辺の城を攻撃させた。宇文屈雲は宇文素延に別働隊を率いさせ、慕容諸部を襲撃させた。これに対し、慕容部の大人慕容廆は自ら軍を率いて宇文素延を迎え撃ち、これを打ち破った。

この敗戦に深く恥じた宇文素延は、雪辱を期して10万の兵を率いて慕容部の本拠地である棘城を包囲した。しかし、慕容廆が自ら甲冑を身に纏って出撃すると、宇文素延は再び敗北を喫し、軍を退却させた。慕容廆は追撃の手を緩めず、百里に渡って追撃を行い、捕縛または討ち取られた者は1万人に上った。

この敗戦の影響は大きく、遼東人の孟暉が宇文部から離反し、数千家を引き連れて慕容廆に帰順するという事態を招いた。

宇文莫珪の没年については明らかになっていないが、彼の死後、子の宇文遜昵延がその地位を継承した。

参考文献

『魏書』（列伝第九十一）
『晋書』（慕容廆載記）
* 『資治通鑑』（巻八十四）

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