拓跋禄官

拓跋禄官（たくばつ ろくかん）

拓跋禄官は、鮮卑拓跋部の大人（たいじん：部族長）であり、拓跋力微の子として生まれました。彼は、拓跋沙漠汗、拓跋悉鹿、拓跋綽といった兄弟と共に、拓跋部の歴史において重要な役割を果たしました。没後、北魏の道武帝によって昭皇帝と追尊されています。

生涯

294年、拓跋弗の死後、拓跋禄官はその後を継いで大人となりました。父である拓跋力微の時代から、晋との友好的な関係を深め、庶民は平穏な生活を送り、財産や家畜も豊かになっていきました。拓跋禄官が族長の地位を継承した際、拓跋部の騎兵は既に40万を超える規模に達していました。

295年、拓跋禄官は拓跋部を3つの地域に分割し、それぞれを異なる人物に統治させました。自身は上谷郡の北、濡源の西に位置し、東の宇文部と接する東部拓跋部を統治しました。拓跋沙漠汗の長子である拓跋猗㐌は、代郡参合陂の北で中部拓跋部を統治し、拓跋沙漠汗の次子である拓跋猗盧は、定襄郡の盛楽故城で西部拓跋部を統治しました。

領土の境界を明確にするため、拓跋禄官は杏城の北80里から長城の端にかけて石碑を建て、晋との境界を定めました。

296年、拓跋弗が生前に改葬を望んでいたため、拓跋禄官は拓跋沙漠汗および皇后封氏の葬儀を執り行いました。この葬儀には、晋の成都王である司馬穎が従事中郎の田思を、河間王である司馬顒が司馬の靳利を、并州刺史である司馬騰が主簿の梁天をそれぞれ派遣し、参列させました。葬儀には遠方からも多くの人々が訪れ、その数は20万人に及んだとされています。

299年、宇文部の大人である宇文莫珪の子、宇文遜昵延が拓跋部に朝貢に訪れました。拓跋禄官は彼の誠意を喜び、自身の長女を彼の妻として娶らせました。

304年、匈奴の劉淵が離石で挙兵し、自ら漢王を名乗りました。并州刺史の司馬騰は拓跋部に援軍を要請し、拓跋猗㐌が十数万騎を率いてこれに応じました。拓跋禄官もこれに呼応し、西河郡・上党郡において劉淵の軍を打ち破ることに成功しました。

307年、拓跋禄官は生涯を閉じました。

参考文献

* 『魏書』（帝紀第一）

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