宇智郡

宇智郡（うちぐん）

宇智郡は、かつて奈良県（大和国）に存在した郡です。現在の五條市の一部（西吉野町、大塔町および畑田町の一部を除く）と、吉野郡大淀町の一部（佐名伝）が郡域にあたります。

歴史

古代

『和名類聚抄』には、郡内の郷として以下のものが記されています。

阿陁（あだ）
賀美（かみ）
那珂（なか）
資母（しも）

また、『延喜式』神名帳には、郡内の式内社が記されています。

近世

「旧高旧領取調帳」によると、明治初年時点での支配は以下の通りでした。幕府領は五條代官所が管轄していました。

幕府領
寺社領
旗本領

この時点で、郡内には60の村が存在していました。

近現代

町村制以前

1868年（慶応4年）
2月5日：幕府領が奈良府の管轄となる。
5月21日：寺社領・旗本領が奈良府の管轄となる。
7月29日：奈良府が改称して奈良県（第1次）となる。
1870年（明治3年）2月27日：全域が五條県の管轄となる。
阿田峰高原より大野新田が起立。
1872年（明治4年）11月22日：第2次府県統合により、全域が奈良県の管轄となる。
明治初年：岡村が分割して上岡村・南岡村となる。（62村）
1876年（明治9年）4月18日：第2次府県統合により堺県の管轄となる。
上中村・下中村が合併して中之村となる。（61村）
明治10年代：新田村が改称して阪合部新田となる。
1878年（明治11年）：上岡村・南岡村が合併して岡村となる。（60村）
1880年（明治13年）4月15日：郡区町村編制法の堺県での施行により、行政区画としての宇智郡が発足。五條村に「五條郡役所」が設置され、吉野郡とともに管轄したが、まもなく「宇智吉野郡役所」に改称。
1881年（明治14年）2月7日：大阪府の管轄となる。
1887年（明治20年）11月4日：奈良県（第2次）の管轄となる。

町村制以降

1889年（明治22年）4月1日：町村制の施行により、以下の町村が発足。（1町7村）
五條町：五條村、須恵村、新町村、二見村、大島村
牧野村：中之村、上之村、北山村、大沢村、木ノ原村、畑田村、下之村、釜窪村、和歌山県伊都郡真土村［一部］
北宇智村：近内村、小和村、住川村、久留野村、居伝村、西久留野村、小山村、西河内村、出屋敷村
宇智村：今井村、岡村、三在村、宇野村、小島村、六倉村
阿太村：佐名伝村（現・吉野郡大淀町）、東阿田村、西阿田村、山田村、原村、大野新田、島野村、湯谷市塚村、車谷村、滝村、南阿田村、八田村（現・五條市）
野原村：野原村、牧村
南宇智村：霊安寺村、御山村、丹原村、生子村
阪合部村：相谷村、上野村、犬飼村、阪合部新田、中村、黒駒村、大野村、樫辻村、山陰村、表野村、火打村、大津村、田殿村、大深村
1891年（明治24年）9月24日：阿太村が分割され、大阿太村（佐名伝、東阿田、西阿田、山田、原、大野新田）と南阿太村（島野、湯谷市塚、車谷、滝、南阿田、八田）がそれぞれ発足。（1町8村）
1897年（明治30年）8月1日：郡制を施行。郡役所が五條町に設置。
1923年（大正12年）4月1日：郡会が廃止。郡役所は存続。
1926年（大正15年）7月1日：郡役所が廃止。以降は地域区分名称となる。
1928年（昭和3年）11月3日：野原村が町制施行して野原町となる。（2町7村）
1952年（昭和27年）7月1日：大阿太村の一部（佐名伝）が吉野郡大淀町に編入。
1957年（昭和32年）10月15日：五條町、牧野村、北宇智村、宇智村、大阿太村、南阿太村、野原町、阪合部村が合併して五條市が発足し、郡より離脱。（1村）
1959年（昭和34年）1月1日：南宇智村が五條市に編入。同日、宇智郡は消滅。

行政

歴代郡長

明治17年の大阪府宇智吉野郡治一覧概表によると、以下の通りです。

五條郡長→堺県宇智・吉野郡長
大阪府宇智・吉野郡長
奈良県宇智・吉野郡長
宇智郡長

郡役所等

宇智吉野郡役所
本庁：宇智郡須恵村第60番地
上市出張所：吉野郡上市村第280番地
川津出張所：吉野郡川津村第20番地
警察署
五條警察署：宇智郡五條村547番地
五條警察署下市分署：吉野郡下市村270番地
五條警察署上市分署：吉野郡上市村287番地
五條警察署阪本分署：吉野郡阪本村31番地
五條警察署川津分署：吉野郡川津村23番地

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 29 奈良県、角川書店、1990年3月1日。ISBN 4040012909。
旧高旧領取調帳データベース

関連項目

消滅した郡の一覧

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