宇治橋 (宇治市)

宇治橋

宇治橋は、京都府宇治市を流れる宇治川に架かる橋であり、その歴史は古く、日本三古橋の一つとして知られています。伝説によれば、646年（大化2年）に初めて架けられたとされています。

最古の橋

宇治橋は、「瀬田の唐橋」や「山崎橋」と並び、日本を代表する古い橋の一つです。橋の歴史は、東詰にある放生院の「宇治橋断碑」に刻まれています。この断碑は、奈良時代に作られたとされる上半分と、江戸時代に補われた下半分から構成されています。断碑には、宇治橋を架けたのは僧道登であると記されていますが、続日本紀には道昭であると記述されています。

松村博の研究によれば、道登が宇治橋を架けたのは646年であり、道昭は629年生まれで、遣唐使として留学後、各地で橋を架けたとされています。また、壬申の乱では、近江朝廷が宇治橋を抑えたことで、近江京と飛鳥京の交通を遮断したという歴史的背景があります。松村氏は、道登が民間の協力を得て宇治橋を架けたものの、洪水で流出し、後に天智天皇の時代に道昭が近江朝廷の支援を受けて官道として宇治橋を架け直したと推測しています。道登と道昭の架橋事業には、多くの人々を社会事業に参加させ、仏縁を結ぶという共通の目的があったと考えられ、その思想は道昭の弟子である行基に受け継がれました。

『延喜式』には、宇治橋の敷板に関する記述があり、近江国と丹波国から調達された長さ約9m、幅約40cm、厚さ約24cmの板が使用されていたことがわかります。

物語に登場する宇治橋

宇治橋は、古今和歌集や紫式部の源氏物語にも登場し、文学作品にその名を刻んでいます。また、能の「鉄輪」に登場する橋姫伝説でも知られています。橋の東詰には、狂言「通圓」のモデルとなった通圓茶屋があり、小説「宮本武蔵」にも登場します。さらに、1995年に移転した京阪宇治駅も橋の東詰に位置しています。

現在の宇治橋

現在の宇治橋は、寛永13年'>[1996年]]（平成8年）3月に架け替えられたもので、全長155.4m、幅25mあります。橋の高欄は、宇治川の自然や周辺の歴史遺産との調和を考慮し、伝統的な擬宝珠を冠した木製高欄が採用されています。特に、材質には強度の高い檜が使用され、1636年]の刻印がある[[擬宝珠の形状と大きさに合わせて作られています。なお、宇治橋の擬宝珠を確認できる最古の作品は、鎌倉時代後期に描かれた石山寺縁起です。

三の間

橋の上流側には、橋の守り神である橋姫を祀る「三の間」が設けられています。宇治橋のたもとにある通圓茶屋は1160年創業で、江戸時代のガイドブック「宇治川両岸一覧」にも描かれています。この茶屋には、豊臣秀吉が千利休に作らせたと言われる釣瓶があり、通圓が三の間から水を汲み上げ、毎朝秀吉の使いに伏見城まで届けさせたという逸話があります。現在では、毎年10月に行われる「茶まつり」で、この場所から汲み上げた水が興聖寺に届けられ、お茶が立てられます。

観光スポット

宇治橋周辺には、多くの観光スポットがあります。

宇治市源氏物語ミュージアム
宇治上神社
三休庵宇治茶資料館
宇治川太閤堤跡
大吉山展望台
天ヶ瀬吊り橋
天ヶ瀬ダム
朝日焼窯芸資料館
茶業センター
宇治市歴史資料館
* 宇治市総合野外活動センター

これらのスポットを巡ることで、宇治の歴史や文化をより深く理解することができます。

宇治橋は、単なる橋以上の存在であり、その歴史、文化、そして物語が織りなす魅力は、訪れる人々を魅了し続けています。

もう一度検索