安濃津

安濃津（あのうつ、あのつ、あののつ）

安濃津は、現在の三重県津市にあった港湾都市です。古代から中世にかけて、伊勢国の重要な港として栄えました。漢字では安乃津、阿野津とも書き、洞津（あなつ）とも呼ばれていました。

概要

安濃津は、古代より日本の主要な港である三津七湊の一つとして発展しました。中国の歴史書にも、博多津、坊津と並び日本三津として記載されています。京に近く、平安時代には都の重要な外港、東国への玄関口として重要な役割を果たしました。「津」とは、港を中心とした町を指し、伊勢神宮の御厨も置かれていました。

歴史

主要な港として、守護所が置かれるなど港湾都市として繁栄を続けましたが、明応7年（1498年）の明応地震による津波で壊滅的な被害を受け、衰退したとされています。1522年に当地を訪れた連歌師の宗長は、荒れ果てた土地に4、5千もの廃墟や堂塔の跡が残るのみで、犬や鳥の姿もほとんど見られないと記録しています。

港が破壊されたため、正確な位置は不明確です。贄崎灯台沖説と阿漕塚説が提唱されています。1996年に行われた発掘調査では、壺や茶碗、瓦などの遺品や遺構が発見され、港の存在が確認されました。

戦国時代には、付近に津城（安濃津城）が築かれ、城下町として発展しました。江戸時代には、津藩が置かれました。第1次府県統合の際には、三重県の前身となる安濃津県が置かれています。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 24三重県』角川書店、昭和58年6月8日、1643pp.
海の博物館・石原義剛『伊勢湾 海の祭りと港の歴史を歩く』風媒社、1996年7月20日、165pp. ISBN 4-8331-0045-2
『みえまんなか学のすすめ vol.2』みえ歴史街道構想津安芸久居一志地域推進協議会、平成14年3月、79pp.

関連項目

津松阪港 - 現在の港湾。

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