三津七湊

三津七湊とは

三津七湊（さんしんしちそう）は、室町時代末期に制定された日本最古の海洋法規集『廻船式目』に記された、日本における主要な港湾都市の総称です。この言葉は、三つの「津」と七つの「湊」を合わせた十の港を指し、当時の海上交易における重要な拠点でした。

三津

『廻船式目』に記載されている三つの「津」は以下の通りです。

安濃津：伊勢国安濃郡（現在の三重県津市）に位置し、伊勢湾に面した港として栄えました。
博多津：筑前国那珂郡（現在の福岡県福岡市）に位置し、大陸との交易における重要な窓口でした。
堺津：摂津国住吉郡と和泉国大鳥郡（現在の大阪府堺市）に位置し、商業都市として発展しました。

また、中国明代の歴史書『武備志』では、以下の三港が「日本三津」または「三箇の津」として記されています。

安濃津：上記と同様。
博多津：上記と同様。
坊津：薩摩国川辺郡（現在の鹿児島県南さつま市坊津町坊）に位置し、南九州の交易拠点でした。

七湊

七つの「湊」は、日本海側の交易拠点として栄え、近世には北前船の寄港地ともなりました。具体的には以下の港が挙げられます。

三国湊：越前国坂井郡（現在の福井県坂井市）に位置し、九頭竜川の河口に開けた港です。
本吉湊（美川港）：加賀国石川郡・能美郡（現在の石川県白山市）に位置し、手取川の河口にありました。
輪島湊：能登国鳳至郡（現在の石川県輪島市）に位置し、河原田川の河口に開けた港です。
岩瀬湊：越中国新川郡（現在の富山県富山市）に位置し、神通川の河口にありました。
今町湊（直江津）：越後国頸城郡（現在の新潟県上越市）に位置し、関川の河口にありました。
土崎湊（秋田湊）：出羽国秋田郡（現在の秋田県秋田市）に位置し、雄物川の河口にありました。
* 十三湊：陸奥国（現在の青森県五所川原市）に位置し、岩木川の河口に開けた港です。

これらの港は、それぞれが地域の物資の集積地として、また海上交通の要衝として重要な役割を果たしました。

まとめ

三津七湊は、中世から近世にかけての日本の海上交易を支えた重要な港湾都市群であり、その繁栄は、当時の経済や文化に大きな影響を与えました。これらの港は、それぞれの地域で独特の文化を育み、現代においても歴史的な名残を見ることができます。三津七湊は、単なる港の集まりではなく、日本の歴史を語る上で欠かせない重要な要素です。

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