宋弁

宋弁（そう べん）

宋弁（452年 - 499年）は、中国北魏時代の官僚、軍人であり、字は義和といいました。本貫は西河郡介休県ですが、高祖父の代に広平郡列人県へ移住したため、列人出身とも称されます。

生涯

宋弁は宋叔珍の子として生まれましたが、伯父の宋顕に子がいなかったため、その養子となり家督を継ぎました。若くして才能と学問の才が知られていました。孝文帝の時代に平城に上り、尚書の李沖に面会すると、「一日千里を走る王佐の才である」と高く評価されました。伯父の宋顕の死後、爵位を継承。李彪と親交を深め、李彪が秘書丞になると、その推薦で中散から著作佐郎となりました。その後、尚書殿中郎中に任じられ、孝文帝から国政に関する諮問を受けるたびに、若年ながらも明瞭に答えたため、賞賛を受けました。孝文帝からは、卞和献玉の故事にちなんで「弁」の名を賜りました。

492年（太和16年）には、中書侍郎に転じ、員外常侍を兼ねて南朝斉への使者として派遣されました。南朝斉の司徒である蕭子良や秘書丞の王融らは、宋弁の優れた立ち居振る舞いを称賛しました。帰国後、孝文帝に江南の情勢を問われると、蕭氏の政権は長くは続かないだろうと答えました。孝文帝が南征を行う際には、司徒司馬・曜武将軍・東道副将として従軍し、軍の規律を厳正に保ちました。

黄門郎の崔光が宋弁を推挙しましたが、孝文帝は許可しませんでした。しかし崔光の人物を見る目を評価し、後に宋弁は黄門を兼任することになります。その後正式に黄門となり、司徒左長史を兼ねました。門閥を抑制する政策を多く行ったため、旧来の氏族からは恨みを買うこともありました。

再び孝文帝の南征に従軍し、帝の命を受けて豫州や東荊州の兵士を削減し、農業を奨励しました。散騎常侍に転じ、まもなく右衛将軍となり、黄門を兼ねました。李彪が李沖の弾劾を受けると、宋弁は李彪を擁護しました。李彪が失脚して民間に落とされると、その復権のために尽力しました。

499年（太和23年）3月、孝文帝が汝南で病に倒れると、宋弁は帝の病を自らに移すよう懇願しました。孝文帝が馬圏に進むと、本官のまま祠部尚書を兼ね、摂七兵事を担当しました。まもなく吏部尚書に転じましたが、同年4月に孝文帝が崩御。遺詔により咸陽王元禧らと共に輔政を担う予定でしたが、宋弁もすでに亡くなっていました。享年48歳。安東将軍・瀛州刺史の位を追贈され、諡は貞順とされました。

子女

宋維（字は伯緒）：列人県子、員外郎、給事中。後に元叉に協力し、元懌の反乱計画を捏造して告発。最後は罪を問われ死を賜りました。
宋紀（字は仲烈）：宋欽道の父。清河王元懌の下で行参軍。秦州大羌県令、太学博士、侍御史、尚書郎を歴任しました。

伝記資料

『魏書』巻63 列伝第51
『北史』巻26 列伝第14

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