宗預

宗預（そう よ）

宗預（そう よ）は、後漢末期から三国時代の蜀漢に仕えた武将・政治家であり、字は徳艶（とくえん）と称しました。彼は荊州南陽郡安衆県（現在の河南省南陽市臥竜区）の出身で、『三国志』蜀書にその名が記されています。

生涯

劉備が益州に進攻した際、宗預は張飛に従って蜀に入りました。建興年間（223年-237年）の初めには、丞相府の主簿となり、その後、参軍や右中郎将へと昇進しました。

諸葛亮の死後、呉は魏が蜀を攻めるのではないかと危惧し、巴丘に兵を増員しました。これを受けて蜀も白帝城の兵を増強し、呉と蜀の間に軍事的な緊張が生じました。この状況を打開するため、宗預は呉への使者として派遣され、見事に緊張を緩和しました。その功績により、呉の孫権から鄧芝や費禕に次ぐ高い評価を得ました。

その後、宗預は侍中に昇進し、さらに尚書へと進みました。延熙10年（247年）には、屯騎校尉に任命され、初めて軍事に携わることになります。当時60歳であった宗預が軍事に関わることについて、鄧芝から「礼に反するのではないか」と問われましたが、鄧芝自身が70歳になっても兵権を返していないことを指摘し、反論しました。鄧芝は車騎将軍・江州都督という地位にあり、その驕慢な性格から大将軍の費禕も彼を敬遠していましたが、宗預は臆することなく意見を述べたといいます。

再び呉に使いした際には、孫権から「お互い高齢だから、もう会うこともないだろう」と別れを惜しまれ、真珠を一石贈られました。

その後、宗預は後将軍・永安都督に任命され、任地で征西大将軍に任命され、関内侯の爵位を授けられました。

景耀元年（258年）、病により成都に召喚され、鎮軍大将軍・兗州刺史となりました。諸葛瞻が政治を取り仕切るようになると、廖化から共に諸葛瞻の元へ赴くよう勧められましたが、「お互い70歳を過ぎているのに、今更若輩にへつらう必要はないだろう」と断りました。

咸熙元年（264年）、蜀が魏に滅ぼされた後、廖化と共に洛陽へ護送されることになりましたが、その途上で病死しました。

人物評価

宗預は、その外交手腕と、権力者に対しても臆することなく意見を述べる剛直な性格で知られていました。呉蜀関係の安定に大きく貢献し、晩年は自らの信念を貫き通した人物として評価されています。

参考文献

* 「正史 三国志 5 蜀書」（陳寿 著、裴松之 注、井波律子 訳）ちくま学芸文庫 ISBN 4-480-08045-7

もう一度検索