官子譜

官子譜（かんずふ）

『官子譜』は、中国の詰碁（珍瓏）を集めた古典的な棋書であり、詰碁の二大名著として名高い一冊です。明代の囲碁の名手、過百齢によって著され、清代に陶式玉（字は尚白）が編注と改訂を加え、現在の形となりました。

成り立ち

明代末期、梁渓の過百齢は、『官子譜』、『三子譜』、『四子譜』などの優れた棋書を著しました。これらのうち、『四子譜』は序盤と中盤を扱い、『官子譜』は終盤（官子、ヨセ）に焦点を当てています。

その後、『官子譜』は曹元尊によって手が加えられました。清代に入り、陶式玉は終盤の死活やヨセの重要性に着目し、康熙28年（1689年）に『官子譜』の編注に着手、6年の歳月をかけて康熙33年（1694年）に完成させ、榕城（現在の福建省福州市）で出版しました。この校訂作業には、呉瑞徴、婁子恩、蔡隣卿らが協力しました。陶式玉は、蠡県の県令などを務めた後、『易経』研究でも名を上げましたが、山陰（現在の浙江省紹興市）に帰郷して『官子譜』の編纂に尽力しました。序文において、陶式玉は号の存斎を名乗っています。

内容

『官子譜』には、死活や攻め合いなど、合計1478題もの問題が収録されています。原本は上中下の三巻で構成され、上巻に540題、中巻に558題、下巻に380題が収録されています。また、一部の問題は『玄玄碁経』からの収録です。

陶版の序文は、魚丘厚庵（朱弘祚）、胡献徴、呉貞吉によって寄せられています。

特徴

『官子譜』は、終盤における手筋の網羅性において、『玄玄碁経』を上回ると評価されています。終盤のヨセや死活の問題を通じて、実戦で役立つ高度なテクニックを学ぶことができます。詰碁ファンだけでなく、棋力向上を目指す囲碁愛好家にとっても必携の書と言えるでしょう。

日本における出版物

日本でも、『官子譜』は様々な形で出版されています。

西片朝三編『官子譜 （上）（中）（下）』令人堂出版部 1938年
呉清源解説、三堀将編集『官子譜 囲碁手筋の源流 （1）-（4）』平凡社（東洋文庫） 1977-78年
橋本宇太郎、小山靖男解説『官子譜抄—手筋の宝典』山海堂 1980年、改訂版2004年（死活を中心に304題を収録）
高木祥一編『官子譜 （上）（下）』教育社 1995年（164題を収録）

関連項目

詰碁
囲碁の歴史
玄玄碁経
碁経衆妙
死活妙機
囲碁発陽論

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