官途奉行

官途奉行（かんとぶぎょう）

官途奉行は、鎌倉幕府および室町幕府において、御家人の叙位任官を担う重要な役職でした。この職は特に武士階級の地位向上に大きな影響を与えたものとして知られています。

鎌倉幕府における官途奉行

官途奉行は最初に鎌倉幕府で設立され、政所の管轄の下に位置していました。この役職には、代々評定衆として知られる影響力のある御家人が任命されていました。初期の鎌倉幕府では、官位は主に門葉や源氏一門の者が国司に任じられることが許されており、一般の御家人が高い官位を得ることは困難でした。しかし、源頼朝の死後、北条時政が将軍岳父として遠江守に任命され、北条氏はその影響を強めていきました。北条家は正四位下を極位とし、その一門においても従四位下から従五位下の範囲で叙任が広がる結果となりました。

その他にも、源氏の棟梁である足利氏は治部大輔などの地位を得る一方、安達氏は秋田城介や陸奥守に就任するなど、外様の有力御家人も高位を得る例が増えていきました。とはいえ、一般の武士は無位無官で過ごす者が大多数であり、功績がある者でも六位の左右衛門尉に任じられるのが限界でした。

官途奉行の主な役割は、幕府が武士を統制するために官位の除目を専権的に取り扱うことにありました。御家人はこの官途奉行の承認なしに任官することはできず、それを「自由任官」と呼びました。自由任官は処罰の対象となり、その初の例とされるのが、源頼朝の許可を得ずに検非違使左衛門尉に任ぜられた源義経の事例です。

室町幕府における官途奉行

鎌倉幕府の官途奉行は、室町幕府においても設置され、その運営は引付方の管轄下に置かれました。室町時代に入ると、武士の地位は相対的に向上し、足利将軍家は重職に就くようになりました。また、有力大名も従五位下や従四位下へと昇進する例が見られました。

室町幕府は経済的に自立するために、有力大名に対して管領や守護、守護代の補任を行い、将軍の権威を基に独自の財源を確保していました。これにより、武士の官位に対する取り扱いは非常に重要な役割を果たしました。

ただし、戦国時代に突入すると、官途奉行の役割は変化を余儀なくされます。初期には戦国大名の叙位任官や昇叙推薦に寄与していたものの、次第に官途奉行を介さずに独自に叙位任官する事例が増え、戦国大名が朝廷へ直接寄進や推薦を行うようになったため、官途奉行の意義は薄れていきました。

まとめ

官途奉行は鎌倉幕府と室町幕府における武士の官位を一手に管理し、その重要性を理解することは当時の政治や社会的な構造を把握する上でも欠かせない要素です。このように官途奉行は日本の歴史において重要な役割を果たしました。

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