宝安区

宝安区：深圳の西部を支える発展都市

広東[[省]]深圳市西部に位置する宝安区は、歴史と現代が交錯する活気あふれる地域です。深圳宝安国際空港を擁し、近年は地下鉄路線網の整備も進み、深圳市中心部や近郊部へのアクセスが格段に向上しました。かつては深圳経済特区の外に位置していましたが、2010年に特区に編入され、更なる発展を遂げています。

地理と歴史：珠江三角洲の要衝から現代都市へ

宝安区の地形は東高西低で、羊台山（標高587メートル）が最高峰です。西部は珠江河口部の三角江に面し、30キロメートルを超える海岸線を持ちます。珠江河口部の堆積作用により、西部沿岸部は沖積平野を形成し、珠江三角洲の一部を成しています。一方、東部の龍華地区は丘陵と盆地が複雑に織りなす起伏の多い地形です。

宝安区の歴史は古く、古代には百越の居住地でした。東晋の331年には番禺県から宝安県が分立し、香港を含む広大な地域を管轄しました。南シナ海と珠江河口部に面した地理的条件から、中国南部における海上交易の要衝として栄えました。その後、唐代に一時廃止される時期もありましたが、明代には倭寇の侵入を防ぐため、東莞県から再び宝安県が分割・設置されました。

1842年の南京条約締結後、香港島の割譲を皮切りに、イギリスによる九龍半島、新界の割譲・租借が進み、宝安県の領土は縮小しました。中華民国成立後の1914年には、河南省にあった同名の県と区別するため、宝安県に改名されました。深圳墟（現在の深圳中心街東門商業区）は広九鉄道の開通に伴い発展し、やがて県城よりも栄えるようになりました。

1979年の改革開放後、宝安県は深圳市となり、その後、羅湖区、福田区、南山区、竜崗区といった区が宝安県から分割設立され、1992年には宝安区が現在の区域で設置されました。2007年には光明新区、2011年には竜華新区（2016年に竜華区として分離）が設立されるなど、近年も行政区域の再編が続いています。

経済：工業地帯からベッドタウンへ

宝安区は深圳市郊外の主要な工業地帯として発展してきました。特に竜華地区には、鴻海精密工業（フォックスコン）の巨大工場があり、多数の工場労働者が居住しています。また、深圳市中心部の地価高騰を受け、ベッドタウンとしての役割も担っており、地下鉄路線の延伸に伴い、梅林検査站周辺などでは大規模な住宅開発が進んでいます。通勤ラッシュ時の公共交通機関の混雑が課題となっていますが、地下鉄の開通により改善が期待されています。

さらに、宝安国際空港の近隣には深圳国際会展中心が建設され、将来的には世界最大級のコンベンションセンターとなる予定です。

行政区画とインフラ

宝安区は複数の街道から構成され、深圳宝安国際空港、広深港高速鉄道などの交通インフラが整備されています。また、医療機関も充実しており、南方医科大学深圳医院などの大型病院をはじめ、多くの病院や診療所が地域住民の健康を支えています。

宝安区は、歴史と現代が融合した、ダイナミックな発展を続ける地域です。今後も、経済発展と都市整備が持続的に進み、深圳市の発展に大きく貢献していくことでしょう。

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