実従

実従の生涯と業績

実従（じつじゅう）は、1449年（明応7年）から1564年（永禄7年）まで生きた浄土真宗の僧侶であり、本願寺の第8世法主・蓮如の13男として生まれました。その母親は畠山政栄の娘、蓮能であり、実従は戦国時代における浄土真宗の教団の重要な人物となりました。彼の妻は実順の娘、妙意であり、子供として証従、証珍、顕従がいました。彼の名は兼知で、後に兼智に改名、その後、法名を実従に改名しました。

幼少期から青年期

実従は、1498年に父・蓮如が亡くなったため、大坂御坊で母親の元で育てられました。彼の人生の初期には、教団内の対立による混乱があり、1506年には下間頼慶に捕まり兄弟や母共々破門されるという苦しい状況に直面しました。これから3年間彼は浪人として京都をさまよい、1509年には曇華院門跡の支援によって破門が解かれ、実如に仕えることになります。

出家と教義の相伝

1510年に出家した実従は、最初に兼知という名を持ちましたが、後に兼智に改め、法名も賢恵から最終的に実従に変えました。1516年には兄・実悟とともに「教行信証」の教えを受け継ぎ、浄土真宗の教えを広める活動を開始します。

戦いとその後

彼の人生において著名な出来事の一つは、1532年の山科本願寺の戦いです。実従はこの戦いにおいて寺内に留まり、最終的に親鸞聖人の御影など寺宝を持ち出し大坂御坊に退避しました。その後、彼は1535年に失脚した下間頼玄に代わって御堂鎰取役に任命され、1550年には証如より「順興寺」の号を拝受しました。1551年には兄・実孝と共に法印として叙任され、浄土真宗としての地位が確立されていきました。

影響力の増大

証如の死後、実従は次期法主に顕如を支持し、葬儀では棺に名号を書き込む役目を担いました。顕如法主の時代にはその権限は急激に増大し、特に顕如の養育において重要な指導者となりました。彼は教義の継承が重要であると考え、その相伝を行いながら、浄土真宗の教えを更に深化させていきます。

最期と遺族

1564年6月1日、実従は67歳でこの世を去ります。彼の死後、順興寺は長男の証従が1547年に早逝したため、次男の証珍が既に本善寺の住持としている状況から、三男の顕従が後を継ぎました。

実従の人生は、教団の発展に寄与したのみならず、浄土真宗の教義や実践に重要な影響を与えたものとして、今なお多くの人々に語り継がれています。また、彼の残した日記「私心記」は、当時の社会情勢や本願寺の行事についての貴重な資料として評価されています。

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