実悟

実悟の生涯と業績

実悟（じつご、1492年 - 1584年）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した浄土真宗の僧侶です。彼は河内の願得寺の住持として知られ、本願寺の第8世法主である蓮如の10男であり、母は畠山政栄の娘です。実悟は幼少時代に光童丸という名で呼ばれ、後に兼了という諱を持ちました。

幼少期と得度

実悟は、異母兄である加賀本泉寺の住持・蓮悟のもとに養子として送られ、文亀2年（1502年）に得度を果たしました。しかし、永正2年（1505年）には河内の門徒たちが実悟の同母兄・実賢を法主にしようとする陰謀が発覚し、その後の動乱のなかで彼の立場は不安定になりました。

法主擁立と道のり

実悟は永正5年（1513年）、加賀石川郡の清沢坊願得寺の住職に転任されました。この時期、本願寺の10代法主である証如の後見人である蓮淳が、法主による統制を強化する政策を実行しました。その結果、蓮悟とその支持者が反発し、享禄4年（1531年）には内乱が発生。このとき、実悟は小一揆方と見なされ、清沢願得寺が焼かれるという悲劇を迎えました。

謀反の後の生活

その後、実悟は能登へ逃亡します。母方の伯父である畠山家俊が実悟を救うために加賀を攻めましたが、彼は敗北し命を落とします。蓮悟は堺にて不遇の生活を送ることになりますが、実悟は天文19年（1550年）に蓮淳の死に際し赦免されて、永禄年間には河内古橋坊に移住し、その後古橋坊を願得寺に改宗します。

末期と業績

天正4年（1576年）には願得寺が院家に指定され、実悟は天正11年（1583年）11月25日に92歳で没しました。

実悟は教養人としても知られ、蓮如の逸話を纏めた『蓮如上人御一代記聞書』をはじめ、様々な著作を残しました。特に『日野一流系図』や『本願寺作法之次第』などが名高く、加賀一向一揆については「百姓ノ持チタル国ノヤウニナリ行キ候コトニテ候」と述べたことでも注目されています。このように、実悟はその理念や教えを通じて、浄土真宗の発展に寄与しました。

主な著作

実悟が残した主な著作としては以下のものがあります：

• - 蓮如上人御一代記聞書
• - 蓮如上人遺徳記
• - 聖教目録聞書
• - 日野一流系図
• - 下間系図
• - 実悟記
• - 本願寺作法之次第

彼の業績を知ることで、当時の浄土真宗の動向や社会情勢についての理解が深まるでしょう。彼の影響は今なお、浄土真宗の信仰において重要な位置を占めています。

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