蓮悟

蓮悟（れんご）

蓮悟（1468年 - 1543年）は、室町時代中期から戦国時代にかけての浄土真宗の僧であり、本願寺第8世法主である蓮如の七男として生まれました。若松本泉寺の住持を務め、加賀一向一揆において重要な役割を果たしました。

生涯

応仁2年（1468年）に蓮如の七男として生まれた蓮悟は、幼少の頃に次兄である蓮乗の養子となりました。加賀・越中を転々とした後、文明14年（1482年）に長兄である順如によって得度を受けました。養父である蓮乗の隠居後、本泉寺を継承し、三兄の蓮綱、四兄の蓮誓と共に北陸門徒のまとめ役として活躍しました（賀州三ヶ寺）。

長享元年（1487年）には、本泉寺を平尾谷から若松荘に移転し、若松本泉寺と改称しました。この移転は、門徒の出入りを容易にするため、または浅野川などの流通路を確保するためであったと考えられています。長享2年（1488年）に長享の一揆が起こり、加賀守護である富樫政親が倒されると、蓮悟と蓮綱が加賀の支配を主導する「両御山」体制が確立されました。

蓮如の死後、蓮悟は他の兄弟達と共に、父の遺言を遵守する『兄弟中申定条々』に連署しました。永正3年（1506年）には、五兄である実如から能登・越中方面の軍事指揮官に任命され、一揆の指揮を執りました。能登方面では敗北したものの、越中では門徒が勝利し、越後守護代である長尾能景を討ち取るという戦果を挙げました。

しかし、大永元年（1521年）と翌2年（1522年）に加賀一向一揆を率いて再び能登方面の指揮を執った際、郡中の撤退により統率に亀裂が生じました。また、異母弟である実悟を疎んじるようになり、末寺の住職に移すなどの仕打ちを行いました。さらに、本願寺が「一門一家制」を導入すると、実悟は最下級の「一家」に編入されることとなりました。

証如が法主となると、蓮淳による一門統制が強化され、両御山体制が否定されるようになりました。これに反発した蓮悟は、蓮慶や顕誓と共に超勝寺討伐のための一揆を起こしましたが、加賀門徒は分裂し、蓮悟は能登に逃れることとなりました（大小一揆）。その後、蓮淳によって破門され、反逆者として追われる身となり、越前で嫡男である実教が毒殺されました。蓮悟自身は堺に逃れましたが、破門が解かれることなく、天文12年（1543年）に76歳で死去しました。

人物

蓮悟は学識豊かで、実父である蓮如や実如からは頼りにされていましたが、冷徹で人情味に欠けていたと伝えられています。末寺や門徒に対しても厳しい態度を取ることが多く、恨みを買うこともあったようです。

参考文献

浅香年木『北陸真宗教団史論 小松本覚寺史』能登印刷出版部、1983年。
辻川達雄『蓮如と七人の息子』誠文堂新光社、1996年。
柏原祐泉・薗田香融・平松令三監修『真宗人名辞典』法藏館、1999年。
神田千里『戦争の日本史14 一向一揆と石山合戦』吉川弘文館、2007年。

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