宮崎県道27号宮崎北郷線

宮崎県道27号宮崎北郷線：歴史と自然が交差する道

宮崎県道27号宮崎北郷線は、宮崎県宮崎市から日南市に至る主要地方道であり、その歴史は古く、前身である飫肥街道を含めると400年以上に及びます。この路線は、単なる交通路としてだけでなく、地域の歴史や文化、自然と深く結びついています。

歴史

江戸時代、この道は飫肥藩の重要な幹線道路として機能し、参勤交代にも利用されました。飫肥城と地頭所があった清武郷中野を結ぶ役割を担い、高鍋藩が飛地の串間へ向かう際にも利用された重要な道でした。明治時代以降も、南那珂郡役所所在地である飫肥と宮崎県庁を結ぶ幹線道路として機能しましたが、その後、道路改良が進まず、2008年現在でも半数以上が未改良区間として残っています。

一方、海岸ルートの国道220号や、同じ山岳ルートの宮崎県道28号日南高岡線が改良されたことで、幹線道路としての役割はそちらに移りつつあります。しかし、県道27号は、歴史的な価値とともに、手付かずの自然が残る場所として、多くの人々に愛されています。

飫肥街道

狭義の飫肥街道は、飫肥城から北郷、清武を経由し、清武加納で鹿児島街道（現在の国道269号）に合流する区間を指します。しかし、広義には、清武町から佐土原城までの区間も含まれます。県が制定した「愛称ロード」の飫肥街道は国道222号であり、この県道27号とは直接的な関係はありません。

狭義の飫肥街道は、おおむね現在の県道430号、県道28号、県道429号、そして県道27号に相当しますが、花立山越えの区間は車道が通じていません。この区間は、かつては難所とされ、旅人にとって大きな試練の場でした。

路線データ

• - 起点：宮崎県宮崎市源藤町（源藤交差点、国道220号交点）
• - 終点：宮崎県日南市北郷町北河内（宮崎県道28号日南高岡線交点）
• - 主な経由地：宮崎県宮崎市清武町
• - 総延長：32.7626 km
• - 実延長：30.9751 km
• - 未改良延長：18.3534 km (2008年時点)

歴史的な出来事

• - 1600年前後：飫肥街道が開通。当時は花立山を越えるルート。
• - 1685年：佐々助三郎が飫肥街道を利用。
• - 1887年頃：宮崎-清武間が開通。
• - 1892年：山仮屋隧道が開通。
• - 1894-95年頃：宮崎 - 飫肥間の県道として全通。花立山越えのルートが変更。
• - 1919年：県道として廃止。大戸野 - 田野間の県道認定に伴うもの。
• - 1926年：県道として復活。大戸野 - 田野間の県道整備が不十分であったため。
• - 1954年：大戸野 - 田野間の県道が主要地方道日南高岡線として認定。
• - 1959年：現路線が一般県道北河内宮崎線として認定。
• - 1972年：現路線が主要地方道宮崎北郷線として認定。
• - 1993年：日南高岡線の改良工事が完了。県道宮崎北郷線が主要地方道に再指定。
• - 1996年：飫肥街道が「歴史の道百選」に選定。
• - 1998年：山仮屋隧道が近代土木遺産として宮崎県の有形文化財に指定。
• - 2011年：宮崎市清武町の「美人坂」区間のバイパス道路が開通。
• - 2016年：国道269号との重用区間が解消、県道27号の単独区間となる。
• - 2023年：豪雨災害により「美人坂」区間の路肩が決壊、全面通行止め。

路線状況

• - 通称：飫肥街道
• - 重複区間：宮崎県道13号高岡郡司分線（宮崎市清武町木原 - 清武町新町二丁目）

道路施設

宮崎市内には、八重川や清武川、小河内川などの河川を渡る多くの橋梁があります。特に注目すべきは、旧・飫肥街道に残る第一九平橋と第二九平橋で、木造橋と石垣が当時の面影を伝えています。また、日南市には、明治時代に作られた山仮屋隧道があり、これは宮崎県で最初の道路トンネルであり、有形文化財にも指定されています。

路線概略

宮崎市（源藤町 - 清武町新町）

起点の源藤交差点から清武町加納までは、かつて鹿児島街道（国道269号）と重複していましたが、現在は単独区間となっています。追分からは、JR日豊本線を渡り、宮崎国際大学や宮崎学園短期大学のある中野地区に至ります。中野からは、改良された主経路と旧来の未改良区間に分かれます。未改良区間にある「美人坂」は、急な傾斜の坂道で、道幅も狭くなっています。

宮崎市（清武町新町 - 鏡洲）

新町から南下し、清武川を渡り、宮崎大学清武キャンパス（医学部）の西側を通ります。勢田峠を越えると、鏡洲小学校付近で県道339号との丁字路があります。この区間は、飫肥街道時代の旧道が残っていますが、現在では通行不能です。

宮崎市鏡洲 - 日南市北郷町山仮屋

この区間は、鰐塚山地を縦断する区間であり、一部を除いて未改良の道路が続きます。双石山の西側を南下し、九平地区にはかつて茶屋が設置されていました。椿山峠一帯は椿山森林公園として整備されており、飫肥街道が保存されています。山仮屋隧道は、この区間にある重要な歴史遺産です。

日南市（北郷町山仮屋 - 北郷町郷之原）

山仮屋からは、県道27号は花立山の西を通るルート、飫肥街道は花立山を越えるルートに分かれます。山仮屋関所は、かつて人や物資を監視するための重要な場所でした。花立山 - 郷之原間は、飫肥街道の中でも難所とされ、現在ではホテルやゴルフ場、公園として整備されており、往時の面影を辿るのは難しいです。

日南市（北郷町郷之原 - 飫肥）

広渡川に沿って平坦な道が続き、JR日南線がほぼ並走します。北郷町郷之原から飫肥までは、現在の日南高岡線（県道28号）や郷之原日南線（県道430号）に相当します。

まとめ

宮崎県道27号宮崎北郷線は、歴史的な価値と自然が調和した魅力的な道路です。かつての飫肥街道の名残を残しつつ、現代の交通路としての役割も担っています。未改良区間が多く残るため、通行には注意が必要ですが、歴史と自然を感じながらドライブや散策を楽しむことができます。

参考文献

• - 北郷町史編纂委員会、伊東岩男（編）、1965、『北郷町史』、北郷町役場
• - 前田博仁、2007、『飫肥街道 - 歩く感じる江戸時代』、鉱脈社
• - 徳永孝一、2005、『みやざき歴史の道を行く 明治初期の街道と歴史の風景』、鉱脈社
• - 宮崎日日新聞、1983、『宮崎県大百科事典』、宮崎日日新聞
• - 「角川日本地名大辞典」編纂委員会、1986、『角川日本地名大辞典 45 宮崎県』、角川書店
• - 宮崎県県土整備部、2013、『道路施設現況調書（平成25年4月1日）』、宮崎県
• - “北郷町町勢要覧2007” (PDF). 日南市市勢要覧. 日南市役所 総合戦略課 (2009年3月27日).

外部リンク

• - 宮崎県県土整備部
• - 宮崎土木事務所
• - 日南土木事務所
• - 北郷地区観光案内 - 日南市役所 北郷町総合支所
• - ひむか神話街道を巡る旅 北郷町（日南市）・日南市エリア - 宮崎県商工観光労働部観光交流推進局観光推進課

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