鰐塚山地

鰐塚山地（わにつかさんち）

概要

鰐塚山地は、九州南東部の太平洋沿岸に、直径約40キロメートルの範囲に広がる山地です。この山地は、南那珂山地（みなみなかさんち）や日南山地（にちなんさんち）とも呼ばれることがあります。特に、北東部の海岸沿い、清武川と広渡川に挟まれた山塊は、鵜戸山地（うとさんち）として区別されることがあります。

地理

鰐塚山地の北側には宮崎平野が、西側には都城盆地が、そして南西側には肝属平野が広がっています。東側は日向灘（太平洋）に面しており、その地理的な位置から、多様な自然環境が形成されています。この山地は、宮崎県の宮崎市、日南市、串間市、三股町、都城市、そして鹿児島県の志布志市、曽於市にまたがっており、広範囲にわたる山地であることがわかります。

自然

鰐塚山地は、飫肥杉（おびすぎ）の産地として有名で、スギの植林が盛んに行われています。しかし、山頂付近にはアカガシやミヤマシキミなどの貴重な天然林も残されており、多様な植物相が確認できます。また、野生ワサビやヤマハンノキの日本における南限となっており、生物多様性の観点からも重要な地域です。

主な山岳

鰐塚山地には、以下のような山々があります。

鰐塚山（わにつかやま）：標高1118.1メートル。山地内で最も高い山です。
小松山（こまつやま）：標高988.8メートル。
柳岳（やなぎだけ）：標高952.3メートル。
牛の峠（うしのたお）：標高918メートル。
男鈴山（おすずやま）：標高783.4メートル。
鵜戸山地（うとさんち）
岩壺山（いわつぼやま）：標高737.6メートル。
双石山（そうせきさん）：標高509メートル。

これらの山々は、それぞれ異なる特徴を持ち、多様な景観を形成しています。

地質

鰐塚山地の地層は非常に複雑に褶曲しており、地層の同定が難しい場所も多いです。しかし、おおむね西部および南部は四万十層群（しまんとそうぐん）、北東部の鵜戸山地は宮崎層群（みやざきそうぐん）と呼ばれる地層から構成されています。これらの地層は、第三紀に隆起して山地となりました。特に鵜戸山地では、西側の隆起が大きかったため、地層が傾斜しており、東側斜面では地層面に沿った地すべりが起こりやすい状況です。この地質的な特徴は、山地の地形や植生にも影響を与えています。

鰐塚山地は、その豊かな自然と多様な地質から、学術的にも重要な地域であり、地域の人々にとってもかけがえのない存在です。

もう一度検索