小峰千代子

小峰千代子：昭和を彩った名女優

小峰千代子（こみね ちよこ、1907年7月28日 - 没年不明）は、日本の女優です。本名を小山 のぶといい、東京市芝区芝浜松町（現在の東京都港区浜松町）で生まれました。旧制愛宕尋常高等小学校（現在の東京都立港特別支援学校）を卒業しています。

演劇の世界へ

1932年、小峰は日本プロレタリア演劇研究所に入所し、演劇の世界に足を踏み入れました。翌1933年には東京左翼劇場に入団、1934年には新協劇団の創立に参加するなど、初期は舞台女優として活動していました。1940年に新協劇団が解散した後は、日活多摩川撮影所に入り、映画にも出演するようになります。戦後、1946年には新協劇団の再建に参加し、再び舞台活動も行いました。その後も、プレーヤーズセンター、森の会、東京俳優生活協同組合など様々な劇団や団体に所属し、劇団前進座にも参加するなど、幅広く活躍しました。俳優の宇野重吉は同期で、師は俳優の河原崎長十郎です。

多彩な映画出演

小峰は、数多くの映画に出演しており、その多くで独特の存在感を放っています。初期の作品としては、『音楽喜劇 ほろよひ人生』（1933年）があります。戦時中には、『支那の夜』（1940年）で桂蘭の婆や役、『マライの虎』（1943年）ではマライ人の妻を演じました。戦後の作品では、『瓢箪から出た駒』（1946年）や『煉瓦女工』（1946年）などに出演し、特に、お婆さん役としての印象を強く残しました。また、『太陽のない街』（1954年）、『点と線』（1958年）など、社会派ドラマにも出演し、その演技力を高く評価されました。1960年代以降も、『伊豆の踊子』（1963年、1967年）で茶屋の婆さん役、『狭山裁判』（1976年）で石川リイ役など、晩年まで多くの作品で活躍しました。

テレビドラマでの活躍

小峰は、テレビドラマにも多数出演しており、その数は映画に劣りません。初期のテレビドラマとしては、『忘れられぬ人「定期券」』（1953年）、『らくだの馬さん』（1953年）などがあります。1950年代後半からは、『事件記者』、『おかあさん』などの人気シリーズにも出演しました。また、『ダイヤル110番』、『東芝土曜劇場』、『銀河テレビ小説』など、様々なジャンルのドラマで活躍しました。1960年代には、『宮本武蔵』（1965年-1966年）、『連続テレビ小説 / おはなはん』（1965年）といった話題作にも出演し、その存在感を示しました。1970年代には、『ウルトラマンA』（1972年）、『ウルトラマンタロウ』（1974年）といった特撮作品にも出演しており、晩年まで幅広い役柄を演じました。

舞台女優としての原点

小峰は、舞台女優としてそのキャリアをスタートさせました。新協劇団や劇団前進座など、数々の劇団に所属し、舞台でも活躍しました。主な出演作品としては、『太陽のない街』、『どん底』、『街の入墨者』、『夜明け前』などがあります。これらの作品を通じて、その演技力は磨かれ、映画やテレビドラマでの活躍につながったと言えるでしょう。

小峰千代子は、その長いキャリアを通じて、舞台、映画、テレビドラマと幅広い分野で活躍し、数々の名演を残しました。特に、お婆さん役での存在感は特筆すべきものがあり、多くの観客を魅了しました。彼女の演技は、時代を超えて記憶されることでしょう。

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