居正

居正（きょ せい）：清末から中華民国を駆け抜けた革命家・政治家

居正（きょ せい、1876年 - 1951年）は、清末から中華民国にかけて活躍した政治家であり、革命家です。中国同盟会以来の革命派人士で、中国国民党では反共右派として知られています。旧名は之駿、字は覚生、号は梅川。

生い立ちと革命運動への参加

塾教師の家庭に生まれた居正は、幼い頃から学問に励み、1899年には院試で首位を獲得するほどの秀才でした。しかし、1901年の郷試で落第したことを機に、政治の世界に関心を持つようになります。

1905年、日本に留学し、法政大学法政速成科で法律を学びました。留学中、郷土の先輩である陳乾の紹介で宋教仁と知り合い、中国同盟会に加入。本格的に革命運動に身を投じることになります。

1907年には日本大学本科法律部に入学しますが、まもなく雲南省河口での孫文らの蜂起に参加しようと帰国を試みます。しかし、香港で蜂起の失敗を知り、シンガポールへ。そこで胡漢民や汪兆銘らが主宰する『中興日報』で執筆活動を行い、革命派の宣伝に尽力しました。その後も南洋各地で革命運動を支援しました。

1910年、孫文の命を受けて帰国し、漢口で同盟会の活動に従事。同年10月に武昌起義が勃発すると、湖北軍政府に加わり、都督の黎元洪を補佐して政府組織の事務に携わりました。

反袁世凱の活動と中華革命軍の組織

1912年、孫文が臨時大総統に就任すると、居正は内務次長（代理内務総長）に任命されました。しかし、袁世凱が後任の臨時大総統となると辞任。その後、宋教仁が率いる国民党で活動します。1913年、宋教仁が暗殺されると、孫文の下に戻り、二次革命に参加。上海呉淞砲台総司令として戦いましたが、敗北し日本へ亡命しました。

1914年、孫文が組織した中華革命党に加入し、党務部長に任命。1915年には、中華革命軍東北軍総司令に任命され、反袁世凱活動を指揮します。1916年、青島で中華革命軍東北軍を組織し、山東省で軍事活動を展開。日本軍との衝突も起こしましたが、袁世凱の死後、山東軍務会弁との講和を経て、中華革命軍東北軍は解散しました。

反共右派としての活動と国民党内での立場

その後、居正は広州で孫文の護法運動に参加。1919年に中華革命党が中国国民党に改組されると、総務部主任兼軍事委員に任命されました。しかし、孫文の三大政策、特に聯ソ聯共路線に強く反発し、上海に引きこもってしまいます。

孫文の死後、居正は章炳麟らと「辛亥倶楽部」を組織。1925年には、鄒魯らと北京で国民党第2回全国代表大会（西山会議）を開催し、三大政策反対と反共を宣言しました。

司法院院長としての活動

蔣介石とは対立的な姿勢を取っていましたが、1931年の満洲事変を機に和解。国民党第4回全国代表大会で中央執行委員、常務委員に選出され、司法院副院長に任命されます。1932年には司法院院長に昇格し、1948年まで国内法制の整備に尽力しました。また、1932年から1935年までは最高法院院長も兼任しています。

司法院院長辞任後は、監察院監察委員に選出され、1949年に台湾に逃れた後もその職にとどまりました。

その後の生涯

1951年11月23日、台北で病没。享年75歳。居正は、清末から中華民国という激動の時代を駆け抜けた革命家であり、政治家でした。その生涯は、中国の近代史における重要な一章を飾っています。

参考資料

蕭棟梁「居正」中国社会科学院近代史研究所『民国人物伝 第12巻』中華書局、2005年
劉寿林ほか編『民国職官年表』中華書局、1995年
奚紀栄、武吉雲 (2003). “抗戦前中国航空隊史略(上)”. 軍事歴史研究
ユリア・リンス「中国の第三革命と日本 : 一九一六年山東省における反袁運動を中心に」『史苑』第54巻第1号、立教大学史学会、1993年

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