山内豊資

山内豊資（やまうち とよすけ）

山内豊資は、江戸時代後期に土佐藩の第12代藩主を務めた人物です。寛政6年（1794年）に第10代藩主・山内豊策の次男として生まれ、文化6年（1809年）に兄である第11代藩主・山内豊興の急逝により、その跡を継いで藩主となりました。

藩政への取り組み

藩主となった豊資は、藩政の立て直しに力を注ぎました。具体的には、以下の政策を実施しました。

専売制の強化: 藩の財政を安定させるため、専売制を強化しました。
新田開発と銅山開発: 領内の生産力を高めるため、新田開発や銅山の開発を積極的に行いました。
領民救済: 社倉や義倉を設置し、飢饉などの非常時に備えて領民を救済する体制を整えました。
文治の奨励: 藩校・教授館を拡充し、文治を奨励することで、藩士の教育水準向上を図りました。
医学の進歩奨励: 医学の進歩を奨励し、藩内の医療体制を充実させようとしました。

これらの政策により、一時的に藩財政は改善されました。しかし、天保の大飢饉が発生すると、藩内は大打撃を受け、財政は再び悪化しました。天保13年（1842年）には、領民が生活苦から逃れるために他領へ逃散する事態も発生しました。

藩政改革とその挫折

豊資は、この状況を打開するため、天保10年（1839年）に倹約令を出し、天保12年（1841年）には藩主親政による藩政改革を宣言しました。しかし、これらの改革は十分な効果を上げることができませんでした。また、同時期には、土佐の郷村の庄屋が秘密同盟を結成し、待遇改善を求めるなど、身分制の動揺が見られるようになり、藩政は混乱を深めていきました。この秘密同盟は、後の幕末の尊王攘夷運動に影響を与えたとも言われています。

豊資は、天保14年（1843年）に長男の豊熈に家督を譲って隠居しましたが、豊熈は嘉永元年（1848年）に、その跡を継いだ四男の豊惇も同年内に亡くなったため、再び藩政に関与することになります。豊資は、分家の山内豊信を第15代藩主として擁立し、隠居後も「少将様」と呼ばれて藩政に影響力を持ち続けました。豊信が安政の大獄で隠居となった後は、十一男の豊範を第16代藩主として擁立しました。

死去

明治5年（1872年）1月4日、山内豊資は79歳でこの世を去りました。

系譜

山内豊資は、生涯で11男7女をもうけました。以下に主な人物を記します。

父: 山内豊策（第10代土佐藩主）
母: エイ（白禎院、増井氏）
養父: 山内豊興（第11代土佐藩主）
正室: 祐仙院（池田斉政の娘）
側室: 美芳院（大賀宗文の娘）
長男: 山内豊熈（第13代土佐藩主）
四男: 山内豊惇（第14代土佐藩主）
十一男: 山内豊範（第16代土佐藩主、山内容堂の養子）
子女: 貞（上杉斉憲正室）、悦（諒鏡院、佐竹義睦正室）、嘉年（徳大寺実則室）など

山内豊資は、激動の時代に土佐藩の舵取りを担った人物であり、その生涯は藩政改革への挑戦と、その挫折、そして隠居後の藩政への関与という、複雑な様相を呈していました。

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