山田良市

山田良市

山田 良市（やまだ りょういち、1923年9月3日 - 2013年2月27日）は、日本の海軍軍人、航空自衛官。第15代航空幕僚長を務めた人物です。海軍兵学校71期を卒業後、海軍では大尉、航空自衛隊では航空幕僚長たる空将にまで昇進しました。

海軍時代

1923年、福岡県に生まれた山田良市は、戸畑中学を経て海軍兵学校に入校。1942年に卒業し、少尉候補生として戦艦「武蔵」や敷設艦「津軽」に乗り組みました。その後、霞ヶ浦海軍航空隊で飛行訓練を受け、戦闘機パイロットとしての道を歩み始めます。大分空、筑波空で訓練を重ね、1944年には「紫電」を装備した戦闘機隊に配属され、フィリピンのマルコット基地に進出。初陣では、米艦載機群の迎撃にあたりました。この空戦で、多くの仲間が帰還不能となる中、山田を含む数機のみが帰還を果たしました。その後も、同地域で米軍機との交戦を続け、大尉に進級。しかし、空戦中の着陸事故で負傷し、内地へ帰還することになりました。

1945年、山田は、新鋭機「紫電改」を装備した戦闘機隊に配属され、徹底的な訓練を受けました。激戦の中、不時着した際には地元住民に敵と間違われることもありました。終戦時には、夜間攻撃のみを行う部隊へ移ると聞かされていたため、覚悟を決めていたそうです。終戦時、司令官と共に自決する希望者を募った際には、深く考えずに志願したと語っています。これは皇統護持作戦のための選抜であり、作戦内容を知らされた山田は生涯をかけた盟約を結びました。しかし、天皇制の存続が決まったため、自決は実行されませんでした。戦後、山田は、戦死した部隊長の妹と結婚。部隊長の遺品がないことを知り、自分の時計を遺品として届けた際、妹に一目ぼれしたそうです。

航空自衛隊時代

1954年、航空自衛隊の創設に伴い、1等空尉として入隊。アメリカでのジェット機訓練を経て、千歳や浜松の航空団で飛行隊長を歴任しました。特に、浜松ではブルーインパルスの隊長を務めています。1964年の東京オリンピック開会式では、ブルーインパルスの地上指揮を執りました。その後、航空幕僚監部で要職を歴任し、次期戦闘機調査団長として欧米を視察。F-4の導入を決定しました。1979年には、第15代航空幕僚長に就任。紫電改のエンジンが引き上げられた際には、慰霊碑の筆を執りました。また、スクランブル機へのミサイル搭載を決定するなど、航空自衛隊の発展に大きく貢献しました。

1981年に退官。戦闘機パイロットとしてのキャリアは28年半に及び、総飛行時間は4,240時間を超えました。退官後は、東京計器やコーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドに勤務。70歳の時に、勲二等瑞宝章を受章しました。

年譜

1942年：海軍兵学校卒業、海軍少尉候補生
1943年：海軍少尉任官、海軍練習航空隊飛行学生
1944年：海軍中尉に進級
1944年：戦闘第402飛行隊附、戦闘第701飛行隊分隊長、海軍大尉に進級
1945年：予備役編入
1947年：公職追放仮指定
1954年：航空自衛隊入隊（1等空尉）
1960年：2等空佐に昇任
1966年：1等空佐に昇任、航空幕僚監部防衛部防衛課勤務、航空幕僚監部防衛部防衛課防衛班長
1969年：防衛研修所所員
1971年：航空幕僚監部防衛部付、航空幕僚監部防衛部防衛課長
1972年：空将補に昇任、第5航空団司令兼新田原基地司令
1974年：航空幕僚監部防衛部長
1975年：空将に昇任、保安管制気象団司令
1976年：西部航空方面隊司令官
1977年：術科教育本部長
1978年：航空総隊司令官
1979年：航空幕僚長
1981年：退官
1993年：勲二等瑞宝章受章
2013年：逝去、正四位

栄典

レジオン・オブ・メリット・コマンダー
勲二等瑞宝章

参考文献

神立尚紀、『零戦最後の証言 II 』、光人社、2000年、ISBN 978-4769809654。光人社NF文庫、2011年、ISBN 978-4769826798
零戦搭乗員の会『零戦かく戦えり』文春ネスコ
ヘンリー境田『源田の剣』ネコパブリッシング

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