岑春煊

岑春煊の生涯と政治活動

岑春煊（しんしゅんけん）は、清末から民初にかけて活動した中国の重要な政治家です。彼は特に袁世凱（じょうせいかい）の政敵として知られ、また孫文（孫中山）が推進した護法軍政府（南方政府）にも参加したものの、しばしば対立することがありました。彼はチワン族（壮族）で、旧名は春澤、字は雲階です。父は清末の政治家、岑毓英であり、優れた政治家の家系に生まれました。また、子息には汪兆銘政権で経理を担当した岑徳広がいます。

初期の経歴

1885年に科挙で合格し、以降の人生は徐々に上昇していきました。彼は1889年に五品京堂候補となり、1892年には光禄寺少卿に任命されます。その後、太僕寺少卿へ異動し、1894年の日清戦争では欽差大臣の劉坤一に任用され、山東省での職務に就きました。1898年には広東布政使、1900年には義和団の乱に際して蘭州から軍を率いて北京へ向かい、西太后や光緒帝を保護する任務を果たしました。この功績により岑は陝西巡撫に昇進しました。

その後、1901年に山西巡撫に就任し、列強との交渉を担当します。1902年には広東巡撫に異動、その後四川総督に昇進しましたが、西太后の信任を受けたため、袁世凱やその支持者たちとの対立が生じました。1906年には雲貴総督への異動を命じられたものの、自らの意向を貫くため、拒否し続けます。

袁世凱との対立

1911年、鉄道国有化をめぐる騒擾事件により彼は四川の革命派鎮圧を命じられましたが、途中で武昌起義が発生したため、岑は清朝擁護の立場から革命支持に方針を転換しました。1912年には福建宣撫使となり、翌年には粤漢鉄路督弁へ異動。二次革命が勃発した際には、李根源や他の革命派に大元帥として擁立され、袁世凱打倒を試みましたが、失敗しマレー半島に逃れることとなります。

1915年、広西将軍の陸栄廷の助けを得て上海に戻り、護国戦争に参加します。1916年には日本に渡り、官民双方から護国軍への支援を呼びかけ、成功を収めました。5月には両広護国軍都司令に就任し、さらなる昇進を果たします。

護法軍政府での活動とその後

袁世凱の死後、護法運動が活発化し、岑春煊は孫文らの護法軍政府側に参加しました。ただし、彼は李根源や陸栄廷の桂軍とともに主導的な立場に立つことになり、孫文とは何度も対立します。1917年には孫文が大元帥に就任しましたが、これを拒否し続けました。

1918年には護法軍政府が集団指導制に改編され、岑は主席総裁に選ばれました。しかし、彼の政治姿勢は北京政府との協調を目指していたため、反発を招くこととなり、重要な仲間たちが辞任したり、彼と陸栄廷の密約について糾弾する事態となりました。1920年には岑春煊はついに辞職を決意し、上海の租界に身を潜めることになりました。

最後の時期

岑春煊は1933年に73歳でこの世を去っています。彼の人生は、激動の時代の中でさまざまな役割を果たし、個々の政治理論や戦略に影響を与えたことを示しています。彼の政治活動は、中国の近代史を語る上で欠かすことのできない重要な要素であると言えるでしょう。

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