劉坤一

劉坤一の生涯と業績

劉 坤一（りゅう こんいつ、Liú Kūnyī）は、清朝末期の著名な軍人および官僚であり、道光10年（1830年）に湖南省新寧県で生まれました。彼は、曽国藩や左宗棠の後を受けて、張之洞と共に後期の洋務運動の指導者となり、近代中国の発展に寄与しました。

初期の経歴

劉は、学資を国から支給される廩生として教育を受けたことに始まりました。咸豊5年（1855年）、彼は団練を指揮し、太平天国の反乱者との戦闘に参加しました。この戦いの中で、彼は江忠源が創設した楚勇に編入され、戦功を挙げていきます。

その後、劉坤一は知県、知州、知府、広東按察使、広西布政使などの地位を歴任し、同治4年（1865年）には江西巡撫、光緒元年（1875年）からは両広総督、光緒6年（1880年）からは両江総督としての職を担うようになりました。総督としての任期中、彼は財政の整理や汚職の摘発、洋務運動の推進に尽力しました。

軍事と政治への影響

光緒17年（1891年）、劉は海軍軍務の補佐に任命され、光緒20年（1894年）の日本との日清戦争では、欽差大臣としての職務を果たし、主に山海関での作戦に従事しました。また、光緒21年（1895年）には康有為が推進する強学会に対し、5000両の寄付を行い、変法運動を支持しました。しかし、光緒24年（1898年）の戊戌の変法に関しては急進的な改革には反対していました。

彼は戊戌政変後には光緒帝の廃位に異議を唱え、同年に日本の元首相である伊藤博文と会見しています。この会談により、日本との関係を深め、国際的な視野を広げることに貢献しました。

義和団の乱と改革案

光緒26年（1900年）には、義和団の乱が発生しました。劉は両江総督として行動し、義和団の鎮圧を強く主張しました。彼は、他の列強国の領事や、湖広総督張之洞、両広総督李鴻章と連携し、「東南互保」という合意を結び、西太后からの宣戦布告の命令を民衆の安全を考慮して無視しました。次の年には、張之洞と共に「江楚会奏三折」を上奏し、政治、経済、軍事、教育の全般的な改革を訴えました。

晩年と死

光緒28年（1902年）5月30日、劉坤一は南京で東亜同文書院の初代院長根津一や教頭兼監督の菊池謙二郎と面会しました。菊池によると、劉は元気で、長時間の会談にも疲れを見せない様子でした。根津は、杉浦重剛から託された日本刀を劉に贈呈しました。

同年、劉は72歳で亡くなり、忠誠の諡号が贈られました。彼の切なる改革への思いは、近代中国の形成に大きな影響を与えたといえるでしょう。

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