岩崎喜勢

岩崎喜勢（いわさき きせ）は、弘化2年（1845年）に土佐国で生まれ、大正12年（1923年）に亡くなった女性です。彼女は、三菱財閥の創始者である岩崎弥太郎の妻として、その生涯を支え、家庭を守り、子供たちの教育に尽力しました。

喜勢は、土佐国長岡郡三和村浜改田（現在の高知県南国市）で、郷士・高芝重春（玄馬）と徳夫妻の次女として生まれました。しかし、生まれた間もなく父が亡くなったため、母・徳は安芸郡井ノ口村（現在の高知県安芸市）の久萬氏に再嫁しました。喜勢は、吾川郡御畳瀬村（現在の高知県高知市）に住む叔父の高芝小七郎・古馬夫妻によって養育されました。

文久2年（1862年）、喜勢は母の再婚先である久萬直勝と、岩崎弥太郎の姉夫婦である吉村喜久次・はつ夫妻の仲介により、土佐藩の地下浪人であった岩崎弥太郎と結婚しました。弥太郎との間には、長女の春路（加藤高明夫人）、長男の久弥（三菱の3代目総帥）、次女の磯路（木内重四郎夫人）という1男2女をもうけました。家庭では、義父の弥次郎や義母の美和によく仕え、献身的に家族を支えました。

明治7年（1874年）、喜勢は家族とともに東京府（現在の東京都）に移り住みました。東京では、自邸内に雛鳳館を設立し、子供たち（養子や弥太郎の妾腹の子を含む）の教育に力を入れました。また、美和とともに真言律宗の釈雲照に帰依し、十善会や婦人正法会といった社会活動にも積極的に参加しました。

喜勢は、大正12年（1923年）に亡くなり、東京都豊島区の染井霊園に埋葬されました。その後、墓は染井霊園に隣接する岩崎家の墓地に改葬されています。

岩崎喜勢は、激動の時代を生き、三菱財閥の礎を築いた岩崎弥太郎を支えた女性として、その功績は広く知られています。彼女の生涯は、家族への愛情と社会貢献への熱意に満ちていました。

彼女を演じた女優として、宝塚歌劇団の月影瞳（「猛き黄金の国」2001年雪組）、NHK大河ドラマ「龍馬伝」（2010年）でマイコがいます。

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