島津勝久

島津勝久とは

島津勝久（しまづ かつひさ）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての薩摩国の大名であり、島津氏第14代当主です。文亀3年（1503年）、島津氏第11代当主・島津忠昌の三男として生まれました。初めは忠兼と名乗り、頴娃氏の名跡を継いでいました。

家督相続と混乱

当時の島津氏は、家中の内乱や当主の急死が相次ぎ、弱体化していました。永正16年（1519年）、兄で13代当主の島津忠隆の死去に伴い、急遽家督を継ぐことになります。しかし、勝久の政権基盤は弱く、また、薩州家の島津実久が権勢を強めたため、島津氏は混乱します。勝久は、相州家の協力を得るため、大永6年（1526年）に島津忠良の長男・貴久を養子に迎え、家督を譲って隠居しました。

しかし、この決定に実久が猛反発。大永7年（1527年）には貴久を追い落とし、勝久を再び守護に据えます。翌年、勝久に改名しました。

家臣団の動揺と再度の失脚

勝久は、家督を継いだ直後に老中を入れ替えたため、守護家の重臣たちの不満を高めていました。新しく起用された老中たちは相州家に近く、彼らの影響で貴久との養子縁組が進められたと考えられています。一方、解任された老中は実久に加担し、勝久によって再登用されています。こうした朝令暮改の行動が、家臣団に大きな動揺を与えました。

実久に擁されて再び国政を執ろうとした勝久に対し、島津一族が諫めましたが、勝久は聞き入れませんでした。天文3年（1534年）には、国老の川上昌久が勝久を諫めようと寵臣を殺害。勝久はこれを恐れて逃亡するも、後に昌久を切腹に追い込みます。実久は勝久を除く意思を固め、同年、勝久を襲撃しました。勝久は直臣にも見捨てられ、実久に「屋形」号を譲り、帖佐へ逃亡しました。

亡命

その後、勝久は、北原氏や祁答院氏の協力を得て反撃を試みましたが、敗北。最終的には、母の実家である大友氏を頼り、豊後国へ亡命しました。

死没と子孫

天正元年（1573年）、豊後国の沖の浜で死去。享年71歳。墓所は鹿児島の隆盛院、後に福昌院です。子には島津忠良らがおり、長男は後に薩摩国へ戻り、その子孫は島津義久に仕えました。次男以下は大友氏に仕え、大友氏の改易後は徳川氏に仕えた者もいました。

勝久の評価

島津勝久は、家督を巡る混乱の中で、翻弄された人物と言えるでしょう。優柔不断な行動が家臣団の動揺を招き、最終的には亡命へと追い込まれました。しかし、その生涯は、戦国時代の激しい権力闘争の一端を物語るものとして、歴史に名を刻んでいます。

参考文献

『島津歴代略記』（島津顕彰会 1985年）
『西藩野史』（鹿児島県私立教育会 明治29年）

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