島津実久

島津実久（しまづ さねひさ）

島津実久は、戦国時代の武将で、薩摩国島津氏の分家である薩州家の5代目当主です。

生涯

永正9年（1512年）、薩州家4代当主・島津忠興の子として誕生しました。実久は薩摩出水を本拠とし、薩摩守護で本宗家の奥州家当主であった島津勝久と激しく対立しました。

実久は勝久に対し、過酷な圧力をかけ、家督を譲らせようとしました。この強引なやり方に反発した勝久は、島津氏の分家である相州家の島津貴久に家督を譲ろうとしました。しかし、実久はこれを許さず、勝久を豊後国へ追放し、貴久とその父である島津忠良を滅ぼして、家督を奪い取ろうとしました。

これに対し、島津忠良は天文6年（1537年）5月上旬、実久と会談し、「川辺・加世田を我らに与え給えば、鹿児島・谷山・伊集院・吉田を進上し、守護と仰いで以後は水魚の交わりをなさん」と提案しましたが、実久はこれを拒否しました。その後も一進一退の攻防が続きましたが、天文8年（1539年）の加世田や市来の戦いで忠良父子に敗れ、紫原の戦いなどでも連敗を重ねました。最終的に、実久は島津貴久に降伏し、出水に隠棲することとなりました。薩州家の家督は、実久の子である島津義虎が継ぎました。

天文22年（1553年）閏1月には上洛し、室町幕府13代将軍・足利義輝に拝謁しましたが、その帰路で病に倒れました。同年7月7日に出水に戻りましたが、約2週間後に死去しました。

近年の研究

近年の研究では、勝久と重臣たちの間に政治的な対立が存在していたことが指摘されています。実久の行動は、単なる謀反ではなく、反勝久派の本宗家重臣による新当主擁立の動きであったという見解も出ています。天文4年（1535年）から6年（1537年）にかけて、実久が宗家当主・守護職として島津氏領国を掌握していた時期があったとされています。

その後、勝久を擁立した島津忠良が反撃し、鹿児島を含む薩摩半島を掌握しました。さらに、入来院氏や渋谷氏など北薩摩の国衆を味方につけて川内と鹿児島の交通を遮断したことで、実久は苦境に陥りました。

実久が死去するまで忠良・貴久父子に帰順した記録がないことから、実久は死去するまで島津氏当主の立場から忠良・貴久父子と戦い続けたと考えられています。死去直前の実久の上洛も、貴久に対抗するためのものであったとする説が有力です。

家臣・陪臣

(具体的な家臣・陪臣の情報は提供された資料には含まれていません)

脚注

(脚注の情報は提供された資料には含まれていません)

参考文献

『本藩人物誌 鹿児島県史料集8』（鹿児島県立図書館）
『鹿児島県史　別巻』（鹿児島県 1943年）
* 山口研一「戦国期島津氏の家督相続と老中制」（初出:『青山学院大学文学部紀要』第28号（1986年）/所収:新名一仁 編『シリーズ・中世西国武士の研究 第一巻 薩摩島津氏』（戎光祥出版、2014年） ISBN 978-4-86403-103-5）

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