川上村 (奈良県)

奈良県川上村：吉野林業の里、豊かな自然と歴史が息づく村

川上村は、奈良県南東部に位置し、吉野林業の中心地として知られています。西に大峰山脈、東に台高山脈が連なり、吉野川（紀の川）の源流域にあたる自然豊かな場所です。大台ヶ原山の北西に位置し、大迫ダムや大滝ダムが吉野川に設けられています。

地理と自然

川上村は、豊かな自然に恵まれています。村内には天神窟、水晶の窟、不動窟などの鍾乳洞があり、自然の神秘を感じられます。また、村の南東部、三之公近くの岩の割れ目からは湯が川（三之公川）に温泉が湧き出ており、かすかに硫化水素の臭いがします。入之波（山鳩湯）と迫（湯盛温泉）は源泉温度が30度以上あり、山鳩湯は茶色に濁ったお湯が特徴です。

歴史

川上村は、古い時代から人々に知られていました。縄文時代のものとされる宮の平遺跡（大滝ダムに水没）が発見されています。平安時代には、惟喬親王がこの地の人々に木地師の技術を伝えたと伝えられています。室町時代には、後南朝の自天王・忠義王が本拠地としていた場所のひとつ三之公（神之谷）があり、長禄の変が起きました。これを偲び、自天王が用いたと伝えられる兜などを拝する「朝拝式」が年に一度行われています。

経済と産業

川上村は、吉野林業の中心地であり、長い歴史を有しています。農地が少ないため、自家消費用の小規模栽培が行われる程度です。村内には、南都銀行川上支店や奈良県農業協同組合（JAならけん）川上支店があります。また、大滝郵便局と柏木郵便局が集配局として機能しています。

文化と観光

近年、やまぶきホール（村立総合センター）や村立図書館などの公共施設が整備されつつあります。観光スポットとしては、三ノ公川トガサワラ原始林（国の天然記念物）、丹生川上神社上社、入之波温泉、湯盛温泉ホテル杉の湯、大滝ダム・学べる防災ステーション、大迫ダム・ダム釣り公園などがあります。また、自天王を偲ぶ「朝拝式」や、まるごと吉野杉フェアなどのイベントも開催されています。

教育

2024年度に旧やまぶき幼稚園、旧川上村立川上小学校及び旧川上村立川上中学校を統合し、川上村立かわかみ源流学園が設置されました。旧川上小学校跡に設置され、義務教育を一貫して行っています。吉野林業高等学校がかつて村内にありましたが、吉野高校に統合され廃校となりました。

交通

村内には鉄道路線がありません。鉄道でアクセスする際の最寄り駅は、近畿日本鉄道吉野線大和上市駅です。路線バスとして、R169ゆうゆうバスややまぶきバス、スマイルバスが運行されています。道路は、国道169号が村内を通り、隣接する吉野町や上北山村とを結んでいます。大滝ダムの建設に伴い道路が整備され、伯母谷道路が完成し、通行困難な区間はなくなりました。

川上村は、豊かな自然と歴史、文化が調和した魅力的な村です。吉野林業の里として、また観光地として、多くの人々が訪れます。

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