工藤圭章

工藤圭章

工藤圭章（くどう よしあき）は、1929年1月18日に生まれ、2008年4月4日に没した日本の建築史学者です。青森県南津軽郡大鰐町大鰐で、大鰐温泉の湯元の家系に生まれました。

経歴

工藤氏は、弘前高等学校、海軍兵学校76期を経て、日本の降伏後に弘前高等学校に戻りました。1954年に横浜国立大学工学部建築学科を卒業後、1956年に東京大学大学院数物系研究科修士課程を修了しました。その後、奈良国立文化財研究所建造物研究室で臨時筆生としてキャリアをスタートさせ、1959年に同庁の職員となりました。1962年には文部技官に任官し、1964年には奈良国立文化財研究所平城宮発掘調査部第二調査室長に就任しました。1965年には、「ナラの街区変遷過程の研究」で工学博士の学位を取得しています。

1967年、工藤氏は文化財保護委員会事務局建造物課文化財調査官に就任し、1968年には文化庁文化財保護部建造物課文化財調査官となりました。1975年には奈良国立文化財研究所飛鳥宮跡発掘調査部長に就任し、発掘調査を指揮しました。1980年には文化庁文化財保護部建造物課主任文化財調査官、1985年には文化財保護部建造物課長、1987年には文化財保護部文化財鑑査官を務め、1989年に定年退官しました。

退官後、工藤氏は沼津工業高等専門学校校長に就任し、後進の育成に尽力しました。1994年には沼津市特別表彰を受賞しています。1996年には別府大学客員教授に就任し、佐賀県吉野ヶ里遺跡復原整備委員会委員長も務めました。1997年には別府大学文学部文化財学科教授となり、大学設置・学校法人審議会専門委員も兼任しました。2001年には文化財建造物保存技術協会理事、修復の手帖刊行委員会委員長に就任し、文化財の保存と修復に貢献しました。1999年には勲三等瑞宝章を受章しています。

著書

工藤圭章は、数多くの著書を執筆し、日本の建築史研究に多大な貢献をしました。

『藤原宮』中央公論美術出版 1967
『海住山寺』中央公論美術出版 1968
『原色日本の美術 6 阿弥陀堂と藤原彫刻』西川新次共著 小学館 1969
『日本の美術 11 平等院と藤原彫刻』西川新次共著 小学館 ブック・オブ・ブックス 1972
『奈良の寺 18 金堂と講堂 唐招提寺』撮影:渡辺義雄,薗部澄 岩波書店 1974
『日本美術全集 第3巻 飛鳥・白鳳の美術 高松塚と藤原京』上原和共編集 学習研究社 1980
『日本の民家 第3巻 農家 3 近畿』編集 学習研究社 1981
『古寺建築入門』渡辺義雄写真 岩波グラフィックス 1984
『不滅の建築』全12巻 鈴木嘉吉共責任編集 毎日新聞社 1988‐89
『日本名建築写真選集 第1巻 室生寺』土門拳撮影 山折哲雄共著 新潮社 1992

これらの著書は、日本の古代建築や文化財に関する貴重な情報を提供し、研究者や一般読者にとって重要な資料となっています。

工藤圭章は、日本の建築史研究に多大な貢献をしただけでなく、文化財の保存と活用にも尽力した人物です。彼の業績は、後世に長く語り継がれることでしょう。

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