帝王編年記

『帝王編年記』の概要

『帝王編年記』、または『歴代編年集成』は、南北朝時代に成立した日本の年代記であり、その範囲は神代から後伏見天皇の時代まで広がっています。本作は、日本以外にも、インドや中国の歴史や仏教の沿革を扱っており、現在27巻からなっています。『新訂増補国史大系』第12巻に収められていることでも知られています。

内容の構成

本書は、巻3以降において、天皇ごとの即位前の記録、即位の記事、仏滅の起源、中国暦との対応、年代記、そして皇太子、皇子女、斎王、後宮、要職者の名簿といった多岐にわたる内容で構成されています。これらの資料は、「群書類従本」「皇代記」系統に属する年代記を基盤としており、特に『皇帝紀抄』が重要な資料とされています。

年代記の視点

興味深い点として、本作では神武天皇元年（紀元前660年）が周僖王3年（紀元前679年）と設定されており、独自の視点が垣間見えます。また、孝元天皇から舒明天皇時代にかけて、皇太子を「太子」と表記していることから、皇太子号の変遷に対する認識も伺えます。

書写の背景

本書の序文には、著者が「釈門の逸才」と自称し、既存の「帝王編年の書」がその本質を捕えていないと感じていたことから本年代記を執筆したと記されています。著者は「録して27巻」「号して帝王編年記」とし、一部では「録して30巻」「号して歴代編年集成」とも言われているバージョンがあります。尊経閣文庫本には「七帖之内」や「第七巻欠」との記載があり、本当は30巻が正しい構成なのかもしれません。

また、尊経閣文庫本の識語から、著者が釈永祐であることが分かるものの、彼についての詳細はほとんど知られていません。写本は近世のものしか確認されておらず、本作の存在を同時代の記録から知ることも難しいのが現状です。

成立時期の考察

この年代記の成立時期については、光厳天皇や光明天皇をそれぞれ光厳院、法皇と呼んでいることから、光厳崩御後から光明崩御前の1364年から1380年の間と考えられています。さらには、巻の冒頭に「震旦自三皇到大元」との記載があるため、元の大都放棄が行われた1368年以前である可能性も示唆されています。

評価と参考文献

本作は、歴史的資料としての価値が高く、歴史家や研究者にとって重要な文献です。『新訂増補国史大系』を元にした評価や分析がなされています。評価に関する詳細は、田島公の「帝王編年記」を参照として展開されており、国史大系書目解題の中で371ページから406ページにわたり解説されています。

関連項目と外部リンク

本作に関連する文献として、『扶桑略記』や『一代要記』、さらには『革命勘文』も挙げられます。さらに、国書データベースや国立公文書館、京都大学の貴重資料デジタルアーカイブなどの外部リンクも活用できるでしょう。

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