平親信

平親信（たいら の ちかのぶ）について

平親信は、平安時代中期に活躍した公卿です。桓武天皇を祖とする平氏の一族、高棟流に属し、中納言・平時望の孫にあたります。父は伊勢守を務めた平真材で、その次男として生まれました。

生涯

親信は、冷泉天皇の時代に守平親王（後の円融天皇）が皇太子となると、その身の回りの世話をする東宮雑色として朝廷に出仕しました。その後、円融天皇の即位に伴い、蔵人所雑色に移ります。文章生としての学識も持ち合わせており、六位蔵人、衛門少尉（検非違使尉）などを経て、天延3年（975年）には従五位下・筑後権守に任じられ、地方官としてのキャリアをスタートさせました。

その後、一時的に右衛門権佐（検非違使佐）を務めた後、貞元2年（977年）には従五位上・阿波守、永観3年（985年）には正五位下・近江権介と、円融朝後半から一条朝初頭にかけて、地方官を歴任しながら順調に昇進しました。永延2年（988年）に一度官職を辞しますが、翌年、勢多橋の築造に貢献したことで従四位上に昇叙。正暦2年（991年）には越前守に任じられ、再び地方官を務めます。

長保元年（999年）には修理大夫として京官に転じ、長保2年（1000年）には造宮の功績により正四位下に昇進。長保3年（1001年）には東三条院御賀に際して院司として従三位に叙せられ、ついに公卿の仲間入りを果たしました。公卿となってからも、山城守、備中権守、大宰大弐と地方官を歴任し、その都度、造宮の功績によって昇進を重ね、長保5年（1003年）には正三位、寛弘4年（1007年）には従二位に達しました。

三条天皇の時代末期にあたる長和4年（1015年）には、参議に任じられて議政官となりますが、翌長和5年（1016年）に致仕を願い出て、これが許されました。寛仁元年（1017年）に病のため出家し、その3日後に73歳で亡くなりました。最終的な官位は致仕参議従二位でした。

人物像

親信は、長徳の変で流罪となった藤原伊周が密かに京に戻っていた際、その息子である孝義がこれを密告して叙位を得たという事件がありました。しかし、親信は孝義を厳しく叱責したという逸話が残っており、情に厚く、筋を通す人物であったと評価されています。

また、親信は、書道家として知られる藤原行成と親交があり、行成が建てた世尊寺の土地の一部を譲り受けて尊重寺を建立しました。文人としても教養があり、日記『親信卿記』を著しています。

官歴

親信の主な官歴は以下の通りです。

康保4年（967年）：東宮雑色（守平親王）
安和2年（969年）：内雑色（円融天皇践祚）
天禄2年（971年）：文章生
天禄3年（972年）：六位蔵人
天禄4年（973年）：左衛門少尉、右衛門少尉
天延2年（974年）：検非違使尉
天延3年（975年）：従五位下・筑後権守
貞元2年（977年）：阿波守、従五位上
永観2年（984年）：右衛門権佐
永観3年（985年）：近江権介、正五位下
寛和2年（986年）：従四位下
永延3年（989年）：従四位上
正暦2年（991年）：越前守
長保元年（999年）：修理大夫
長保2年（1000年）：正四位下
長保3年（1001年）：山城守、従三位
長保5年（1003年）：正三位
寛弘2年（1005年）：備中権守
寛弘4年（1007年）：従二位
寛弘7年（1010年）：大宰大弐
長和4年（1015年）：参議
長和5年（1016年）：致仕
寛仁元年（1017年）：出家、薨去

系譜

父：平真材（従四位下伊勢守）
母：藤原定尚の娘
妻：源通理の娘
子：平行義、平重義、平理義、平孝義

参考文献

黒板伸夫『藤原行成』吉川弘文館、1994年
『公卿補任 第一篇』吉川弘文館、1982年

外部リンク

『摂関期古記録データベース』国際日本文化研究センター（『親信卿記』の読み下し文を公開）

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