藤原基隆

藤原基隆（ふじわら の もとたか）

藤原基隆は、平安時代後期に活躍した公卿です。藤原北家隆家流の流れを汲み、大膳大夫を務めた藤原家範の長男として生まれました。最終的な官位は従三位・前修理大夫でした。

生涯

承保2年（1075年）に生まれた基隆は、白河院政期初頭の寛治2年（1088年）に従五位下に叙爵し、政界でのキャリアをスタートさせます。寛治4年（1090年）には左兵衛佐に任ぜられ、昇殿を許されました。その後、寛治6年（1092年）に従五位上、寛治8年（1094年）には美作守を兼ねるなど、順調に昇進を重ねていきます。

この頃から、基隆は白河上皇の院近臣として重用されるようになります。乳母子として堀河天皇にも近侍し、二人の天皇に仕えました。三条大宮に邸宅を構え、そこへ白河上皇が度々行幸するなど、その信任の厚さが窺えます。

嘉保3年（1096年）に正五位下、承徳2年（1098年）に従四位下、康和2年（1100年）には従四位上、そして正四位下へと、目覚ましい昇進を遂げました。康和3年（1101年）には摂津守に任ぜられ、その後も嘉承3年（1108年）に伊予守、永久3年（1115年）に播磨守、保安2年（1121年）に讃岐守、保安4年（1123年）に再び伊予守と、院の勢力下にある国の受領を歴任しました。

これらの地方官としての職務を通じて、基隆は莫大な財力を蓄積しました。その財力をもって、多くの仏寺や邸宅を造営し、白河上皇の院別当にも補任されるなど、上皇周辺の経済面を支える重要な役割を担いました。彼は典型的な院司受領として、その才能を発揮したのです。また、この間には内蔵頭や大膳大夫も兼帯しています。

永久5年（1117年）には母の家子が、保安4年（1123年）には父の家範が亡くなっています。

大治4年（1129年）に白河法皇が崩御すると、基隆は鳥羽上皇の院司となりました。大治5年（1130年）には従三位・修理大夫に叙任され、ついに公卿の仲間入りを果たします。しかし、天承元年（1131年）12月に修理大夫を辞任し、翌天承2年（1132年）正月に出家。そのわずか2ヶ月後の3月21日に亡くなりました。享年58歳。

官歴

以下は、『公卿補任』に記載された藤原基隆の官歴です。

寛治2年（1088年）11月17日：従五位下
寛治4年（1090年）6月15日：左兵衛佐。10月25日：昇殿
寛治6年（1092年）正月7日：従五位上（佐労）
寛治8年（1094年）2月23日：兼美作守（一院分）
嘉保3年（1096年）日付不詳：正五位下（佐労）
承徳2年（1098年）正月27日：従四位下。7月19日：還昇
康和2年（1100年）7月23日：従四位上（造宣耀殿賞）。9月19日：正四位下（中宮行啓家賞）
康和3年（1101年）7月：摂津守
長治2年（1105年）4月10日：兼内蔵頭
長治3年（1106年）11月：辞内蔵頭
嘉承2年（1107年）7月19日：止昇殿。12月9日：新帝昇殿
嘉承3年（1108年）7月28日：伊予守
永久3年（1115年）3月29日：播磨守
保安2年（1121年）6月26日：讃岐守
保安4年（1123年）4月24日：伊予守。4月28日：新帝昇殿。12月20日：兼大膳大夫
大治3年（1128年）3月：辞大膳大夫
大治4年（1129年）12月13日：播磨守
大治5年（1130年）10月5日：兼修理大夫。10月25日：従三位（法金剛院供養日造寺賞）、修理大夫如元。
天承元年（1131年）12月24日：辞修理大夫
天承2年（1132年）正月19日：出家（前修理大夫従三位）。3月21日：薨去

系譜

父：藤原家範
母：藤原家子（藤原家房の娘） - 堀河天皇乳母、典侍、のち大江匡房室
妻：藤原知房の娘
男子：藤原隆頼
妻：藤原長忠の娘
男子：藤原忠隆（1102年-1152年）
男子：藤原雅隆
男子：藤原経隆
妻：藤原師実の娘
生母不明の子女
女子：藤原成通室
女子：藤原信通室
* 女子：平時信室 - 美福門院女房少将局

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