平野健一郎

平野健一郎

平野健一郎（ひらの けんいちろう、1937年9月15日 - ）は、日本の著名な政治学者であり、国際関係論、国際関係史、そして国際文化論を専門としています。東京大学の名誉教授であり、かつては早稲田大学政治経済学部で教鞭を執っていました。

経歴

茨城県に生まれた平野健一郎は、名門である日比谷高校を経て、1961年に東京大学教養学部教養学科国際関係論分科を卒業しました。その後、ハーバード大学大学院に進学し、歴史学と東アジア研究で博士号を1967年に取得しました。

1969年には上智大学外国語学部で専任講師を務め、1970年には東京大学教養学部の助教授に就任。その後教授へと昇進し、1998年に定年退官。東京大学名誉教授の称号を得ました。退官後は早稲田大学政治経済学部の教授として教鞭を執りました。

平野健一郎の研究は、国際関係史においては満州国を主要な対象としています。また、国際関係論の分野においては、比較的早い時期から文化を重要なキーワードとして研究を進めました。文化人類学の視点を導入し、異文化接触によって生じる文化変容（アカルチュレーション）の現象に着目したことは、彼の研究の大きな特徴です。2001年には日本国際文化学会の創立に尽力し、初代会長（2001-2005）を務めました。

彼の門下からは、芝崎厚士のような優れた研究者が輩出されています。

研究内容

平野健一郎は、国際関係論において文化の重要性を早くから認識し、文化人類学的な視点を取り入れた先駆的な研究を行いました。異文化間の交流や摩擦、文化変容といった現象を分析することで、国際関係の複雑な dynamics を解明しようと試みました。満州国に関する研究も、彼の国際関係史研究における重要な業績の一つです。

著作

平野健一郎は、数多くの著作を発表しています。以下に主なものを挙げます。

単著

『国際文化論』（東京大学出版会 2000年）

共著

（衞藤瀋吉・公文俊平・渡辺昭夫）『国際関係論』（東京大学出版会, 1982年／第2版, 1989年）
（斎藤眞・杉山恭・馬場伸也）『国際関係における文化交流』（日本国際問題研究所、1984年）
（山影進・岡部達味・土屋健治）『アジアにおける国民統合――歴史・文化・国際関係』（東京大学出版会 1988年）
（初瀬龍平・馬場伸也・鈴木實・黒沢満）『国際関係キーワード』（有斐閣, 1997年）

編著

『日本文化の変容』（講談社, 1973年）
『国際関係論のフロンティア（2）近代日本とアジア――文化の交流と摩擦』（東京大学出版会, 1984年）
The State and Cultural Transformation: Perspectives from East Asia, (United Nations University Press, 1993).
『講座現代アジア（4）地域システムと国際関係』（東京大学出版会, 1994年）
『国際文化交流の政治経済学』（勁草書房, 1999年）
『戦後日本の国際文化交流』（勁草書房, 2005年）
日中戦争期の中国における社会・文化変容 東洋文庫 2007

共編著

（賀来景英）『21世紀の国際知的交流と日本――日米フルブライト50年を踏まえて』（中央公論新社, 2002年）
（西川潤）『東アジア共同体の構築（3）国際移動と社会変容』（岩波書店 2007年）

訳書

カール・ポランニー『経済の文明史―ポランニー経済学のエッセンス』玉野井芳郎共訳（日本経済新聞社 1975年）
ベンジャミン・I・シュウォルツ『中国の近代化と知識人――厳復と西洋』（東京大学出版会, 1978年）
* ジョン・K・フェアバンク『中国回想録』蒲池典子共訳（みすず書房, 1994年）


平野健一郎の著作は、国際関係論、国際関係史、国際文化論を学ぶ上で貴重な資料となっています。

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