平高清

平高清（たいら の たかきよ）／平六代（たいら の ろくだい）

平高清、通称平六代は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて生きた平家一門の僧侶です。父は平維盛、母は藤原成親の娘・新大納言局で、平清盛の曾孫にあたります。幼名は、平正盛から数えて直系の六代目であることから「六代」と名付けられました。

生涯

「高清」という実名は、高野山の歴史を記した『高野春秋編年輯録』などに記載されていますが、『平家物語』では一貫して幼名の「六代」で呼ばれているため、一般的には「平六代」の名で知られています。

寿永2年（1183年）、源義仲の攻勢により平氏が都落ちを決意した際、父の維盛は都に慣れ親しんだ妻を同行させることをためらい、妻子を都に残して西へ落ち延びました。この時、維盛は妻に子供のことを託し、もしもの時は再婚してほしいと言い残したとされています。

六代は母と共に京都の普照寺奥大覚寺北に潜伏していましたが、平氏滅亡後の文治元年（1185年）12月、北条時政の捜索によって捕らえられました。清盛の曾孫であることから、本来であれば鎌倉に送られて処刑されるはずでしたが、文覚上人の助命嘆願により処刑を免れ、文覚に身柄を預けられることとなりました。

また、六代の母は、維盛の死後、源頼朝の信頼が厚い公卿・吉田経房と再婚しており、このことも六代の助命に関係していると考えられています。文治5年（1189年）に六代は剃髪して妙覚と号し、建久5年（1194年）には文覚の使者として鎌倉を訪れ、大江広元を通じて出家したことを伝えました。

源頼朝は、平治の乱の際に六代の祖父である平重盛が自身の助命に尽力してくれた恩に報いるためとして、六代を関東に滞在させ、その後、異心がなければ寺の別当職に任命しようと申し出たとされています。

その後

『平家物語』などでは、庇護者であった文覚が流罪となった後、その弟子であった六代も捕らえられ処刑されたとされています。しかし、その時期については、文覚が三左衛門事件に連座して流罪となった正治元年（1199年）のほか、源頼朝在世中の建久9年（1198年）、建仁2年（1202年）、同3年（1203年）またはそれ以降、場所も相模国田越川（多胡江河）、鎌倉六浦坂、鎌倉の芝、駿河国千本松原などと諸説あり、確定していません。

六代の処刑を伝える文献は、いずれも文覚の弟子であったことをその理由に挙げていますが、主な処罰対象である文覚が流罪であるのに対し、従属的な立場であった六代が死罪とされていることには矛盾があります。また、文覚の流罪を主導したとされる源通親らに、あえて六代を殺害する動機が見当たらないこと、さらに六代処刑の記事は『平家物語』の諸本以外ではいくつかの年代記や系譜類に限られ、『吾妻鏡』などの確実な史料に記述がないことから、処刑の事実自体を疑問視する見解も存在します。

墓所

神奈川県逗子市桜山8丁目に、六代の墓と伝えられる塚があり、逗子市の史跡に指定されています。六代の死をもって、平清盛の嫡流は完全に断絶しました。

まとめ

平六代は、平家一門の没落と共に波乱の生涯を送った人物です。その処刑については諸説あり、謎に包まれた部分も多く残されていますが、平家物語における悲劇の象徴として語り継がれています。

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