広幡忠朝

広幡忠朝（ひろはた ただとも）は、万延元年11月9日（1860年12月20日）に山城国京都で生まれた。権大納言・広幡忠礼の長男であり、広幡家の後継者として育てられた。

明治維新後の1875年12月には宮内省に出仕し、十等出仕を拝命。その後、准奏任御用掛や侍従職勤務、侍従試補、侍従などを歴任し、天皇の側近として活躍した。同年3月13日には陸軍騎兵中尉に任官し、軍人としてもキャリアをスタート。騎兵大尉まで昇進し、軍事面でも才能を発揮した。

1897年3月13日、父・忠礼の死去に伴い侯爵を襲爵。貴族院侯爵議員に就任し、華族としての地位を確立するとともに、政治の世界にも足を踏み入れた。貴族院では、華族の代表として国政に参与し、様々な政策の決定に影響を与えた。

忠朝は、1905年（明治38年）1月12日に44歳という若さでこの世を去った。その功績を称えられ、同日、従二位に叙せられ、勲三等瑞宝章を授与された。

広幡忠朝の家族構成は以下の通りである。
妻：広幡昭子（岩倉具綱二女）
長男：広幡忠隆（1884-1961、逓信官僚）
長女：朝子（1889-1967、大谷瑩誠室）
次女：則子（1891-1968、久松定省室）
三女：庸子（1893-1990、色部庸男室）
三男：児玉忠康（1898-1990、日本郵船社長、兒玉秀雄養子）

長男の忠隆は逓信官僚として、三男の忠康は日本郵船の社長として活躍し、それぞれ社会に貢献した。また、娘たちはそれぞれ名家へ嫁ぎ、広幡家の血筋を後世に伝えた。

広幡忠朝は、激動の時代を生きた人物であり、軍人、政治家、華族という多様な顔を持ち、それぞれの分野で才能を発揮した。彼の生涯は、明治時代の日本の社会構造や政治情勢を理解する上で貴重な資料となっている。

参考文献
霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成』下巻、霞会館、1996年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
大植四郎編『明治過去帳』新訂初版、東京美術、1971年（原著私家版1935年）。
内閣（明治38年）「侍従陸軍騎兵大尉侯爵広幡忠朝特旨ヲ以テ叙勲ノ儀賞勲局総裁ヘ訓令ノ件」 アジア歴史資料センター Ref.A10112591700

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