大谷瑩誠

大谷瑩誠（おおたに えいじょう）

プロフィール

大谷瑩誠は、1878年（明治11年）11月3日に誕生し、1948年（昭和23年）4月28日に生涯を閉じた浄土真宗の僧侶であり、真宗大谷派の連枝でした。また、東洋学者、そして第13代大谷大学学長という顔も持ち合わせていました。院号は能浄院、別号として「禿庵」を用いていました。

生涯

幼少期から学生時代

1878年、東本願寺第22世法主である大谷光瑩（現如）の次男として誕生しました。幼名は英麿（ふさまろ）と名付けられました。父の意向により、11歳から17歳までの間、福沢諭吉の元で教育を受けました。1897年（明治30年）には真宗京都中学（現在の大谷高等学校）を卒業しました。

布教活動

1898年（明治31年）、21歳で大谷勝信と共に中国上海や台湾へ布教のため派遣され、台湾南支布教総督に任命されました。3年間布教活動に専念した後、さらなる知識を求めてイギリスのオックスフォード大学マンチェスターカレッジに入学し、3年間を過ごしました。1904年7月に帰国してからは、寺務総長や宗務総長など宗派の要職を歴任し、福井別院の住職も兼務しました。

学問への探求

宗門の要職を務める傍ら、学問への関心も持ち続け、京都帝国大学文学部選科生として内藤湖南や狩野直喜に師事し、東洋学の知識を深めました。1925年（大正14年）にはフランス・パリに渡り、国民図書館で中国敦煌出土の古文献研究に励みました。同時期に、京都帝国大学の木田義英も梵語研究のため渡仏しており、親交を深めました。1926年夏に帰国。

大谷大学学長として

1944年（昭和19年）、大谷大学の学長に就任しましたが、在任中の1948年（昭和23年）に急逝しました。

研究内容と業績

東洋学の中でも、特に東洋史学と敦煌学を研究テーマとしていました。仏教者としての側面も持ち合わせ、ヨーロッパ留学時にはインド学を含むヨーロッパの仏教学界の動向にも関心を寄せていました。

大谷瑩誠が収集した中国の古文献や古印の中には、重要文化財に指定されているものも含まれており、その多くは「禿庵文庫」として大谷大学に所蔵されています。「禿庵文庫」に収められている書簡には、幼少期の師である福沢諭吉や、富岡鉄斎、東洋史研究者の羽田亨、狩野直喜、内藤湖南らのものが含まれています。また、兄を通じて竹内栖鳳とも交流があり、能楽の鑑賞や保護を通じて親交を深めていたことがわかっています。

家族・親族

父：大谷光瑩（現如）は東本願寺第22世法主。
兄：大谷光演（顕如、句仏上人）は第23世法主で、書画に優れていました。
養子：大谷暢慶は東本願寺南米本願寺（ブラジル・サンパウロ別院）の住職を務めました。暢慶の子である大谷暢裕は、2020年より第26世門首となっています。

著述

『親鸞聖人讃仰』大谷瑩誠述・暁烏敏編、1943
『わが信念の伝統』暁烏敏編、1943

収集資料関連

神田喜一郎・野上俊静監修1964『中国古印図録』大谷大学
『前學長大谷瑩誠殿一周忌御藏書展観目録』大谷大学 1949
2009年度冬季企画展 京都を学ぶ「The Collection of 禿庵 TOKUAN -大谷瑩誠と京都の東洋学-」

大谷瑩誠に関する資料

野上俊静1964「大谷瑩誠先生と禿庵文庫」『中国古印図録』大谷大学, doi:10.11501/8799311, NDLJP:8799311
山口益「故大谷瑩誠学長殿を憶ふ」『大谷学報』第28巻第1号、大谷学会、1948年11月、48-51頁、CRID 1050001201677578240、ISSN 0287-6027、NAID 120005868097。
* 礪波護「大谷瑩誠と神田喜一郎」『書香：大谷大学図書館報』第20巻、大谷大学図書館、2003年2月、5-7頁、CRID 1050845763421358464、NAID 120006476120。

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