広幡家

広幡家：正親町源氏から侯爵家へ

広幡家（ひろはたけ）は、正親町源氏を祖とする由緒ある公家・華族の家系です。公家としては清華家の家格を有し、華族制度成立後は侯爵家に列せられました。家紋は十六葉裏菊です。

江戸時代：公家としての隆盛

広幡家の始まりは、江戸時代前期に遡ります。正親町天皇の皇孫にあたる八条宮智仁親王の三男、忠幸王は、尾張藩主徳川義直の猶子となり、名古屋城で過ごしました。しかし、後に公家となることを願い出て、寛文4年（1663年）、霊元天皇から源姓を賜り臣籍降下。そして「広幡」の家号を与えられました。この忠幸王を始祖とする源氏の一族は、正親町源氏と呼ばれています。

公家としての広幡家は、清華家（新家・内々）に属し、江戸時代の所領は500石でした。家臣団は諸大夫、侍などから構成され、渡邊家、上田家、岸本家、森家、葛西家、太田家、毛利家など、多くの家臣が仕えていました。菩提寺は八条宮家（桂宮家）と同じ相国寺塔頭の慈照院です。

初代忠幸には女子しか子がいなかったため、2代当主には村上源氏の久我家から豊忠が養子として迎えられました。その後も、豊忠、前豊、経豊など、数々の当主が内大臣にまで昇り詰めるなど、朝廷において大きな影響力を持っていました。明治維新までに8名もの公卿を輩出し、その中には内大臣5名、大納言3名も含まれています。

幕末維新期と華族：忠礼の活躍

幕末維新期には、忠礼が当主を務めました。忠礼は議奏や国事御用掛、内大臣などを歴任し、尊王攘夷派の公卿として活躍しました。明治維新後、華族に列せられ、華族令の施行により、旧清華家として侯爵に叙せられました。

維新後、旧禄に替えて支給された家禄は現米475石3斗でした。また、金禄公債の支給額は2万813円80銭でした。

2代侯爵忠朝は侍従を務め、3代侯爵忠隆は逓信省に入り、灯台局長、管船局長、高等海員審判所長などを歴任。その後、宮中に入り皇后宮大夫兼侍従次長を務めました。歴代当主は侯爵として貴族院議員も務めていました。昭和前期には、東京市麹町区二番町に邸宅を構えていました。

系譜と通字

広幡家の系譜は、実子、養子、婚姻関係など複雑に絡み合っています。特に、4代前豊から8代忠礼までは、五摂家の一つである近衛家の猶子となり、偏諱を賜っていました。また、4代前豊、6代経豊、7代基豊の三名は、2代豊忠の「豊」の字も使用しています。広幡家における通字は「忠」です。

参考文献

広幡家の歴史を理解するためには、様々な文献を参照する必要があります。例えば、『姓氏家系大辞典』、『京都に残った公家たち: 華族の近代』、『華族 近代日本貴族の虚像と実像』、『昭和新修華族家系大成 別巻 華族制度資料集』、『平成新修旧華族家系大成 上巻』、『華族大鑑』、『公家源氏―王権を支えた名族』などが挙げられます。これらの文献は、広幡家の系譜、歴代当主の活躍、そして幕末維新期における役割などを詳細に記述しています。さらに、個別の研究論文なども参考にすると、より深い理解が得られるでしょう。

広幡家は、歴史の舞台裏で重要な役割を果たした家系であり、その歴史を紐解くことは、日本の歴史を理解する上で非常に重要です。

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