広幡長忠

広幡長忠は、江戸時代中期に活躍した公卿であり、広幡家の三代目当主として知られています。官位は正二位権大納言にまで昇り、朝廷において重要な役割を果たしました。

出自と家督相続

長忠は、広幡家二代目当主である広幡豊忠を父として生まれました。母は家女房です。しかし、三人の兄が相次いで亡くなったため、広幡家の家督を継ぐことになりました。

官歴

1720年（享保5年）に叙爵を受け、以降、順調に昇進を重ねます。1728年（享保13年）には従三位に達し、公卿の仲間入りを果たしました。翌1729年（享保14年）には踏歌節会外弁に任じられ、1730年（享保15年）には権中納言に就任しました。

1731年（享保16年）から1735年（享保20年）にかけては、皇太子昭仁親王（後の桜町天皇）の春宮大夫を務めました。これは皇太子の身の回りの世話をする重要な役職であり、長忠の朝廷における地位の高さを示しています。1735年（享保20年）には正三位に昇り、同年中に権大納言に任じられました。1744年（延享元年）には正二位を授与されています。

出家と晩年

順風満帆な官僚生活を送っていた長忠ですが、1756年（宝暦6年）に突然出家し、朝廷を去ります。その時わずか46歳でした。法名は承恵と名乗りました。出家の理由については詳しくわかっていませんが、当時の社会情勢や自身の心境の変化などが影響したと考えられます。1771年（明和8年）に入寂。享年61歳でした。

系譜

長忠は、醍醐冬熙の娘を正室としました。また、仲小路氏とも婚姻関係にありました。多くの子女に恵まれ、その中には内大臣まで昇った広幡輔忠（前豊）や、久我家へ養子に入り内大臣となった久我信通などがいます。娘の一人は西園寺賞季に、もう一人は伊達重村に嫁いでいます。

広幡家について

広幡家は、清華家の一つであり、代々朝廷において重要な役割を果たしました。長忠もその一員として、朝廷に貢献しましたが、晩年は出家という形で世を去りました。その生涯は、当時の公卿社会における栄光と葛藤を象徴していると言えるかもしれません。

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