度会行忠

度会行忠（わたらい ゆきただ）

度会行忠は、鎌倉時代後期の伊勢国（現在の三重県伊勢市）に生まれた神道家であり、外宮祠官、伊勢神宮禰宜を務めた人物です。1236年に誕生し、1306年2月11日にその生涯を閉じました。彼は、度会神道（伊勢神道）の黎明期を代表する人物として、その名を知られています。

概要

度会行忠は、家号を西河原と称し、度会神道の基礎を築いた人物として高く評価されています。彼は、正直・清浄の徳や祈禱の重要性を説き、神道思想の発展に大きく貢献しました。生涯にわたり、『伊勢二所太神宮神名秘書』や『心御柱秘記』などの著作を残しました。また、神道五部書とされる『天照坐伊勢二所皇太神宮御鎮座次第記』、『伊勢二所皇太神御鎮座伝記』、『豊受皇太神御鎮座本記』、『造伊勢二所太神宮宝基本記』、『倭姫命世記』は、奥付では奈良時代以前の成立とされていますが、実際には鎌倉時代に行忠ら外宮祀官が、伊勢神宮に伝わる古伝を基に執筆したとされています。さらに、『大元神一秘書』の執筆者である可能性も指摘されています。

行忠の後、同じく神道家の度会家行が禰宜となり、伊勢神道を確立しました。

生涯

1236年、伊勢神宮の外宮権禰宜であった父・度会行継のもとに生まれました。祖父・度会行能の養嗣子として育ちました。1251年から53年間、外宮の禰宜を務めました。しかし、1282年に内宮の造営料木に口出しをしたことが原因で禰宜を免除され、京都へ移り住むことになりました。

京都では様々な教養を身につけ、時の関白であった公卿鷹司兼平の命令により、1285年から1287年にかけて神道五部書の所説を明らかにした著書『伊勢二所太神宮神名秘書』を著しました。この書は亀山天皇に認められ、1287年に禰宜に復職しました。1293年には『伊勢二所太神宮神名秘書』の略本を著し、1298年から1300年にかけては、度会氏の家系をまとめた『古老口実伝』を著しました。1304年には一禰宜となりましたが、翌1305年に亡くなりました。

度会行忠は、その生涯を通じて神道思想の発展に尽力し、多くの著作を残しました。彼の業績は、後の神道思想に大きな影響を与えました。

主な著作

伊勢二所太神宮神名秘書
心御柱秘記
古老口実伝

関連書籍

鈴木泰二 編『グランド現代百科事典 30 リツホーン』学習研究社
岩崎武雄、中村元、古川哲史、堀一郎 著、相賀徹夫 編『万有百科大事典 4 哲学・宗教』小学館
全国歴史教育研究協議会『日本史B用語集―A併記』山川出版社

関連項目

神道大系
機殿神社
大和葛城宝山記
度会氏

外部リンク

* 度会行忠 - コトバンク

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