弁天町 (神戸市)

神戸市中央区弁天町：歴史と変貌を遂げた港町

弁天町は、兵庫県神戸市中央区に位置する、歴史と変貌を遂げた魅力的な町です。古くからの地名でありながら、現代では再開発によって新しい姿を見せています。この記事では、弁天町の歴史、地理、そして近年の発展について詳しく解説します。

1. 町名の由来：神話の女神と港の記憶

弁天町の名前は、平清盛が勧進したとされる花隈弁天（厳島神社）に由来します。平安時代から続くこの神社は、幾度かの移転を経て、かつて弁天浜と呼ばれたこの地の海岸に祀られました。この弁天浜が、現在の弁天町の地名の起源となっています。神社自体はその後も移転を繰り返しており、現在では元の場所である花隈町に戻されています。この歴史的事実は、弁天町という地名が単なる地名ではなく、神戸の歴史と深く結びついていることを示しています。

2. 地理：交通の要衝、再開発エリアの中核

弁天町は、東から北東にかけて波止場町や海岸通、西には栄町通、南西には東川崎町に隣接しています。暗渠化された宇治川の河口左岸に位置し、その上にはハーバーロードが南北に通っています。国道2号、阪神高速3号神戸線、浜手バイパスといった主要道路が町を横断しており、交通の要衝となっています。

町の多くは1990年代後半の埋立地であり、用途地域は全域が準工業地域に指定されています。しかし、近年では倉庫を改装した商業施設なども進出し、新たな魅力を生み出しています。弁天町は「かもめりあ」（中突堤中央ターミナル）の一部でもあり、「シーガルハーバー」といった都市型集客施設も立地しています。これらの施設は、神戸ハーバーランドと隣接しており、互いに補完し合う関係にあります。

3. 歴史：埋立地からの発展、そして再開発

明治12年(1879年)、弁天町は埋立地として誕生しました。慶応4年(1868年)の地図には、入り江として描かれていたこの地は、明治5年(1872年)から埋め立てが始まり、明治12年に完成しました。当初は神戸区（現在の神戸市）の町名でしたが、その後神戸市神戸区、生田区を経て、昭和55年(1980年)からは中央区に属しています。

昭和初期には倉庫が立ち並ぶ弁天埠頭があり、貨物列車で港と結ばれていました。昭和25年(1950年)から始まった大規模な埋め立て工事により、弁天埠頭は現在の姿へと変貌を遂げました。その後、貨物線の廃線や神戸ハーバーランドの再開発、そして平成8年(1996年)の中突堤西地区の埋め立てと「かもめりあ」の開業を経て、現代の弁天町が形成されました。昭和55年には、後に平安へと社名変更する兵庫県冠婚葬祭互助会の本社ビルが建設され、平成9年には結婚式場「エスタシオン・デ・神戸」が開業しました。

4. 人口変遷：再開発と人口動態

弁天町の世帯数と人口は、再開発によって大きく変動しています。平成22年(2010年)の国勢調査では、人口が極めて少なかったためデータは公開されていません。しかし、過去のデータからは、明治25年(1892年)には532人、昭和35年(1960年)には171人、昭和60年(1985年)には24人という変遷が確認できます。この人口減少は、再開発による土地利用の変化と関係があると考えられます。

5. まとめ：歴史と未来が交差する町

弁天町は、歴史ある地名と現代の再開発が融合した、独特の雰囲気を持つ町です。港町としての歴史、そして再開発による変貌は、神戸の歴史を語る上で重要な要素となっています。今後も、このエリアの更なる発展が期待されます。

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