弓削秋麻呂

弓削秋麻呂について

弓削秋麻呂（ゆげ の あきまろ）は、奈良時代に活躍した貴族です。彼の出自については詳しい記録が残っておらず、氏姓は弓削連から弓削宿禰、そして弓削御浄朝臣へと変わっています。道鏡との関係が深く、その近親者であったと考えられていますが、正確な系譜は明らかになっていません。最終的な官位は従五位上・大蔵少輔でした。

経歴

秋麻呂の経歴を語る上で、道鏡の存在は欠かせません。道鏡の弟である弓削浄人とその子息も弓削御浄朝臣姓を名乗っていたことから、秋麻呂も道鏡・浄人兄弟と非常に近い関係にあったと推測されています。天平宝字8年（764年）7月に浄人が弓削連姓から弓削宿禰姓に改姓し、さらに同年9月には弓削御浄朝臣へと改姓した際、秋麻呂も同時に改姓した可能性があります。

秋麻呂は、天平神護元年（765年）に従六位下から四階級昇進し、従五位下に叙爵され、右兵衛佐に任じられました。その後、天平神護3年（767年）には左少弁に任ぜられ、神護景雲3年（769年）には従五位上へと昇進するなど、道鏡政権下で重要な役職を担いながら順調に昇進を重ねました。

しかし、神護景雲4年（770年）8月に称徳天皇が崩御し、後ろ盾であった道鏡が失脚すると、秋麻呂に関する記録は途絶えてしまいます。道鏡失脚後の彼の動静については、詳しいことは分かっていません。

官歴

秋麻呂の官歴は、『続日本紀』に詳しく記されています。

天平宝字8年（764年）
7月6日：連姓から宿禰姓に改姓
9月11日：弓削宿禰姓から弓削御浄朝臣姓に改姓
時期不詳：従六位下
天平神護元年（765年）
正月7日：従五位下
2月8日：右兵衛佐
天平神護3年（767年）7月10日：左少弁
神護景雲3年（769年）
6月9日：兼周防守
10月30日：従五位上
神護景雲4年（770年）6月3日：大蔵少輔

まとめ

弓削秋麻呂は、道鏡政権下で急速に昇進した貴族であり、その出自や道鏡との関係には謎が多い人物です。道鏡の失脚後、歴史の表舞台から姿を消した彼の足跡を辿ることは困難ですが、当時の政治情勢を反映した興味深い人物の一人と言えるでしょう。

参考資料

宇治谷孟『続日本紀 （中）』講談社〈講談社学術文庫〉、1992年
宇治谷孟『続日本紀 （下）』講談社〈講談社学術文庫〉、1995年

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