弓張山地

弓張山地(ゆみはりさんち)



弓張山地は、愛知県豊橋市、新城市と静岡県湖西市、浜松市浜名区にまたがる山地で、八名弓張山地とも呼ばれます。南アルプスの南端に位置するとも考えられており、その山域は天竜川によって南アルプスから分断されています。一般的には、鳶ノ巣山(標高706m)を最高点とし、愛知県静岡県の県境に沿って弓状に連なる山地として知られています。

地理



弓張山地は、太平洋沿岸付近まで約50kmにわたって延びています。この山地は、複数の山域や丘陵地帯を含んでおり、特に静岡県側では浜名湖や三方原に向かって広がる地域を、引佐山地、湖北連峰、奥浜名丘陵、引佐丘陵などと呼ぶことがあります。これらの地域には、富幕山(563m)のような一等三角点を持つ山も存在し、浜松市によって奥浜名自然歩道として整備されています。また、豊橋市北部から南西に延びる稜線や石巻山の東尾根には、豊橋自然歩道が整備されており、ハイキングを楽しむことができます。

特徴的な地形



  • - 湖西連峰: 弓張山地の南西端の稜線は、静岡県側から湖西連峰と呼ばれ、ハイキングコースが整備されています。
  • - 石巻山: 山頂付近には石灰岩の巨岩が露出し、石灰岩地特有の植物が見られる地域です。不動堂より上部の地域は「石巻山石灰岩地植物群落」として国の天然記念物に指定されています。
  • - 葦毛湿原: 神石山(325m)から南西に延びる稜線とその西麓に位置し、「新・花の百名山」にも選定されています。この湿原と石巻山周辺は、愛知県の石巻山多米県立自然公園に指定されています。

名所



弓張山地には、自然の美しさや歴史を感じさせる多くの名所があります。

  • - 嵩山蛇穴(すせのじゃあな): 石灰岩の洞窟で、国指定の史跡です。この洞窟からは、東海地方固有種のジャアナヒラタゴミムシが発見されました。
  • - 石巻山石灰岩地植物群落: 石灰岩地特有の植物が自生しており、国の天然記念物に指定されています。
  • - 葦毛湿原: 多様な植物が生息する湿原で、「新・花の百名山」にも選ばれています。
  • - 立岩、大原ダム、黄柳野ツゲ自生地、阿寺の七滝、大島ダム、三ケ日みかん、奥山高原、竜ヶ岩洞、都田川ダム、渋川ツツジ群落: これらの名所は、山地の豊かな自然や地域の文化を象徴しています。
  • - 大知波峠廃寺跡(おおちばとうげはいじあと): 平安時代中期の廃寺跡で、国指定の史跡です。

弓張山地の山々



弓張山地には、以下のような山々があります。

  • - 鳶ノ巣山: 弓張山地最高峰
  • - 富幕山: 一等三角点がある山。
  • - 神石山: 「新・花の百名山」に選定された山。

また、県境から外れた山として、愛知県の吉祥山、船着山、常寒山、大森山、静岡県の尉ヶ峰、竜ヶ石山、霧山などがあります。

弓張山地の峠



この山地には、歴史的な峠や道路が数多く存在します。


源流の河川



弓張山地からは、以下のような河川が流れ出ています。

  • - 愛知県側: 黄柳川、宇利川、間川、神田川、朝倉川などが豊川の支流として三河湾へ流れます。また、柳生川と梅田川は独立した二級水系です。
  • - 静岡県側: 都田川、宇利山川などが浜名湖へ流れます。

遊歩道



弓張山地には、南北に豊橋自然歩道が整備されています。この自然歩道は、本線と支線がありましたが、一部ルートの廃止計画が発表されたものの、市民の要望により撤回されました。

豊橋自然歩道



  • - 本線: 中山峠から本坂峠を経由して東山(松明峠)まで。
  • - 中山自然歩道: 中山自然歩道入口から中山峠まで。
  • - 姫街道: 歴史的な街道。
  • - 嵩山自然歩道: 嵩山自然歩道入口から大山浅間社まで。
  • - 長彦自然歩道: 長彦自然歩道入口から大知波峠まで。
  • - 石巻山自然歩道: 石巻山周辺を巡るコース。
  • - 石巻巡回遊歩道: 石巻山周辺の遊歩道。
  • - 赤岩自然歩道: 赤岩自然歩道入口から赤岩尾根分岐点まで。
  • - 赤岩寺自然歩道: 赤岩寺自然歩道入口から赤岩自然歩道合流点まで。
  • - 多米自然歩道: 多米自然歩道入口から多米峠まで。
  • - 普門寺神石山自然歩道: 普門寺と神石山を結ぶコース。
  • - 大脇自然歩道、葦毛湿原・岩崎自然歩道、二川自然歩道、東山自然歩道: その他の遊歩道。

関連情報



  • - 関連書籍: 『石巻山と弓張山地の自然』(豊橋市自然史博物館ガイドブック(2))
  • - 関連項目: 新・花の百名山、葦毛湿原、石巻山多米県立自然公園、中央構造線渥美半島

弓張山地は、その豊かな自然と歴史的な背景から、多くの人々に愛される場所です。ハイキングや自然散策を通じて、この地域の魅力を存分に楽しむことができます。

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。