張本

張本（ちょう ほん）の生涯

張本（ちょう ほん、1367年 - 1431年）は、明代の官僚であり、字は致中、本貫は東平府東阿県にありました。彼は、張従善と丘氏の間に生まれ、その生涯は地方官から中央の要職まで、多岐にわたる活躍で彩られました。

初期の官歴

洪武年間に国子生から江都知県に任じられ、官僚としてのキャリアをスタートさせました。1402年（建文4年）5月、燕王朱棣の軍が揚州に侵攻した際、御史の王彬が籠城を主張し、守将に拘束されるという事態が発生しました。この時、張本は地元の有力者たちを率いて燕王に降伏し、混乱の収拾に貢献しました。その後、房吉、田慶成と共に揚州府知府に任命され、譚友徳と共に府の事務を統括しました。その手腕が認められ、間もなく江西布政司右参政に抜擢されました。

中央での活躍

1406年（永楽4年）、張本は南京に召還され、工部左侍郎に任命されました。しかし、事件に連座して一時的に免官となります。しかし、その才能を惜しまれ、冠をつけたまま工部の事務を任されます。翌年、正式に官に復帰した後、上奏文の不手際から給事中に弾劾され、工部右侍郎に降格しました。1409年（永楽7年）には、皇太子朱高熾が監国となると、刑部右侍郎に転じ、北方の水運監督という重要な任務を任されました。彼は自ら現地を視察し、基準を定め、舟の運航を円滑に進めました。1421年（永楽19年）に漠北遠征が計画されると、王彰と共に各地へ派遣され、輸送車両の製造を監督しました。続く1422年（永楽20年）の永楽帝の第三次漠北遠征では、食糧の輸送を監督し、遠征を後方から支えました。

兵部尚書としての活躍

1424年（永楽22年）8月、洪熙帝（朱高熾）が即位すると、張本は南京兵部尚書に任じられ、掌都察院事を兼任しました。洪熙帝との謁見では、軍備の重要性を訴え、軍の規律を厳しくするように進言しました。翌年4月には、兵部尚書に任命され、軍事面での責任者となりました。1426年（宣徳元年）、工部侍郎の蔡信が軍匠の家族を錦衣衛に編入しようとした際、張本はこれに反対し、宣徳帝は張本の意見を採用しました。同年8月には、漢王朱高煦の乱鎮圧に参加し、軍の糧食調達を担当しました。反乱鎮圧後、楽安に留まって官民の安定を図り、旧勢力の掌握に尽力しました。また、この時期に馬の繁殖が成功したため、張本は山東・河南に牧場を設置することを進言し、これらの地域で初めて馬の飼育が行われることとなりました。1427年（宣徳2年）には、晋王朱済熿の反乱計画が発覚した際、張本は命を受けて晋王の護衛を解散させ、山西の民心を鎮撫しました。

晩年と死

1429年（宣徳4年）、張本は太子賓客を兼任しました。戸部が官田の租税減少により財政難に陥った際、外官の俸給と生員・軍士の月給減額を提案しましたが、宣徳帝は軍士の苦労を慮り、これを却下しました。外官と生員については廷議に下され、張本らの意見は支持されず減額は見送られました。陽武侯薛禄が独石諸戍を築城すると、張本は現地を視察し、その防御体制を点検しました。1430年（宣徳5年）6月には、戸部を兼掌するように命じられました。張本は辺境での食糧不足を懸念し、絹や麻の織物を辺境に輸送し、穀物と交換することで備蓄を充実させました。しかし、1431年（宣徳6年）1月、北京の官舎で病没しました。享年65歳でした。

家族

子には、張璘、張環がいました。

参考文献

『明史』巻157 列伝第45
故資善大夫兵部尚書兼太子賓客張公神道碑銘（楊栄『文敏集』巻18所収）

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