後藤象二郎家

後藤象二郎家について

後藤象二郎家は、江戸時代には土佐藩に仕えた武士の家系でした。しかし、明治維新において重要な役割を果たした後藤象二郎の功績が認められ、華族の伯爵家へと列せられました。

家系の起源

後藤家の先祖については複数の説が存在します。その一つに、大坂夏の陣で活躍した武将、後藤基次（後藤又兵衛）を祖とする説があります。また、山内一豊が土佐に入国した際に、播磨国出身の後藤右近が山内家に仕え、弟の左近と共に土佐へ来たという説も存在します。『山内家御武功御伝記』には、慶長5年の一豊の土佐入国時に後藤左京、後藤助右衛門という名前が見られ、『土佐名家系譜』では、これらは後藤右近、後藤左近と同一人物であると推測しています。

江戸時代から明治維新へ

後藤家は、200石取りの土佐藩士でしたが、象二郎の二代前の後藤左近右衛門が、橋本氏から助右衛門（象二郎の父）を養子に迎えた際、「末期養子」の罰として100石を減封されました。後藤象二郎は、幕末に山内容堂の信任を得て土佐藩の重臣となり、大政奉還を主導しました。明治維新後には、1000石の賞典禄を授与されました。新政府では参与、外国事務局判事、大阪府知事、工部大輔、左院議長などを歴任し、明治6年には参議となりました。しかし、征韓論を巡る論争で西郷隆盛を支持したことにより下野し、板垣退助と共に民選議院設立建白書を提出、後に自由党の幹部となりました。

その後、黒田内閣、第1次山縣内閣、第1次松方内閣では逓信大臣、第2次伊藤内閣では農商務大臣として入閣するなど、要職を歴任しました。明治20年（1887年）5月9日には、維新の功績により伯爵を授けられました。

象二郎の死後

象二郎は明治30年（1897年）8月4日に亡くなりました。その後、長男の猛太郎（1863年生まれ、1913年没）が伯爵位を継承し、貴族院の伯爵議員を務めました。猛太郎が1913年12月4日に亡くなった後は、その長男である保弥太（1896年生まれ、1937年没）が3代目の伯爵となりました。保弥太が1937年7月16日に亡くなった後、襲爵手続きが行われなかったため、後藤家の爵位は喪失しました。

後藤家の系譜

後藤家の系図は以下の通りです。実線は実子関係、点線（縦）は養子関係を表します。この系図は『平成新修旧[[華族家系大成]] 上巻』に基づいています。

後藤基次（諸説あり）
後藤右近（土佐藩士）
後藤左近右衛門
後藤助右衛門（橋本氏より養子）
後藤象二郎
後藤猛太郎
後藤保弥太
後藤省三

参考資料

大町桂月『伯爵後藤象二郎』富山房、1914年（大正3年）。
霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧[[華族家系大成]] 上巻』霞会館、1996年（平成8年）。ISBN 978-4642036702。
寺石正路『土佐名家系譜』歴史図書社、1976年（昭和51年）。
中川重『後藤象二郎』日本社、1935年（昭和10年）。

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