御上神社

御上神社（みかみじんじゃ）は、滋賀県野洲市三上に位置する神社です。琵琶湖の南岸にそびえる三上山（標高432メートル）の麓に鎮座し、古くから三上山を神体山として崇めてきました。この三上山は、藤原秀郷（俵藤太）のムカデ退治伝説でも知られています。

祭神

御上神社の主祭神は、天之御影命（あめのみかげのみこと）です。天之御影命は、天津彦根命の子であり、天照大神の孫にあたるとされています。また、日本で二番目に重要な忌火の神としても知られています。

歴史

社伝によれば、孝霊天皇6年（紀元前284年）6月18日に天之御影命が三上山山頂に降臨し、御上祝（神主）が三上山を神体として祀ったのが始まりとされています。明治から昭和にかけての調査では、三上山麓の大岩山から24個の銅鐸が発見されており、古代からこの地域で祭祀が行われていたことが伺えます。

養老2年（718年）には、藤原不比等が勅命により、遥拝所があった榧木原と呼ばれる場所に社殿を造営しました。平安時代中期の『延喜式神名帳』には、「近江国野洲郡御上神社名神大月次新嘗」と記載され、名神大社に列せられました。古代から中世にかけては、三上山麓に東光寺という寺院が存在し、多くの伽藍や堂舎が建ち並んでいたと伝えられています。円融天皇によって勅願所にも定められました。

1[[876年]]（明治9年）には郷社に列せられ、1890年（明治23年）には本殿、拝殿、楼門が特別保護建造物に指定されたことを機に、国庫補助による解体修理が行われました。1913年（大正2年）に県社、1924年（大正13年）には官幣中社に昇格し、戦後は神社本庁の別表神社となっています。

現在、三上山は神社の境内の東側に位置し、本殿は境内北側に南向きに建てられているため、かつてのように山を直接拝む形ではなくなっています。

神階

六国史には、御上神社の神階が昇叙された記録が残っています。

天安3年（859年）に従五位下から従五位上へ
貞観7年（865年）に従五位上から正四位下へ
貞観17年（875年）に正四位下から従三位へ

社伝によると、陽成天皇年間（876年 - 884年）には正一位に叙せられたとされています。

境内

御上神社の境内には、多くの文化財が点在しています。

本殿（国宝）：桁行三間、梁間三間、入母屋造、檜皮葺の建物で、鎌倉時代後期の建築とされています。神社、寺院、殿舎の様式が混ざり合った独特の構造を持ち、「御上造」とも呼ばれます。裏側には扉と庇があり、三上山の遥拝所の名残とする説や、神宝庫・祭器庫とする説があります。滋賀県下で最初の国宝指定を受けた神社建築です。
拝殿（重要文化財）：桁行三間、梁間三間、入母屋造、檜皮葺で、本殿と似た構造です。かつての本殿を移築・改造したものと伝えられています。
楼門（重要文化財）：三間一戸、入母屋造、檜皮葺の門で、鎌倉時代後期の建築とされています。
神輿舎
宝庫
社務所
悠紀斎田：境内前にある斎田で、昭和天皇即位の際に大嘗祭の献上米を栽培した場所です。毎年5月には御田植祭が行われます。
御旅所：三上山の麓に位置します。

摂末社

境内には、以下の摂社と末社があります。

摂社

若宮神社（重要文化財）：伊弉諾尊、菅原道真公などを祀り、本殿向かって左手に鎮座します。鎌倉時代後期の建築で、一間社流造、檜皮葺の建物です。
三宮神社（滋賀県指定有形文化財）：瓊瓊杵尊を祀り、本殿向かって右手に鎮座します。室町時代の建築で、一間社流造、檜皮葺の建物です。かつては十禅師社と呼ばれていました。

末社

大神宮社：天照御大神を祀ります。
御鍵取神社：天津彦根命、猿田彦命を祀ります。
愛宕神社：火産霊命を祀ります。
竃殿神社：火産霊命、奥津比古神、奥津比売神を祀ります。
奥宮:天之御影命を祀り、三上山山頂に鎮座します。

祭事

御上神社では、年間を通して様々な祭事が行われます。

ずいき祭り：10月14日に行われる秋季古例祭で、「若宮殿相撲御神事」とも呼ばれていました。秋の収穫感謝と子孫繁栄を祈念する祭りで、ずいきで作った神輿が奉納されるほか、子供相撲が行われます。中世の宮座の祭祀組織や神事を伝えていることから、国の重要無形民俗文化財に指定されています。

文化財

御上神社には、多くの文化財が指定されています。

国宝：本殿
重要文化財：拝殿、楼門、摂社若宮神社本殿、木造狛犬
重要無形民俗文化財: 三上のずいき祭
滋賀県指定有形文化財：摂社三宮神社本殿、絹本著色両界曼荼羅図、木造相撲人形、御上神社文書
野洲市指定有形文化財: 黒漆金銅装神輿

現地情報

所在地：滋賀県野洲市三上838
交通アクセス：JR琵琶湖線野洲駅から滋賀バスまたは野洲市コミュニティバスでアクセスできます。

御上神社は、古代からの歴史と豊かな文化を持つ神社です。ぜひ一度訪れて、その魅力を体感してください。

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