御霊神社 (奈良市)

御霊神社について

御霊神社（ごりょうじんじゃ）は、奈良県奈良市薬師堂町にある重要な神社で、古くからの信仰を受け継いでいます。旧社格は村社であり、南都御霊神社や木比御霊とも呼ばれています。この神社の創建は、延暦19年（800年）に桓武天皇の命によって行われました。御霊神社は元興寺五重塔跡の南西に位置し、井上皇后や他戸親王をはじめ、八所大神を祀っています。さらに、南都二大御霊社として崇道天皇社と並び称される存在です。

歴史的背景

平安京が新都として発展を遂げる中、疫病の流行が深刻な問題となり、その原因は怨霊であると認識した桓武天皇は、旧都平城京の三つの入り口に神社を建立しました。その中でも、当社は中つ道にあたる場所に設けられ、井上皇后を祀る御霊社として重要な役割を果たしました。

御霊神社は、延暦19年に霊安寺から井上皇后の御霊を勧請し、新たに設立された神社です。かつては元興寺の南大門前に位置し、その地域は「井上町」とも呼ばれていました。古えの吉備御霊祠奉加帳には、井上内親王を皇后とし、他戸親王を皇太子として祭る記述が残されています。この文書には、疫病が収束しない渦中で、毎年様々な地域で御霊会が行われていたことも記されています。

神社の変遷

宝徳3年（1451年）には、元興寺が焼き討ちに遭い、この影響で御霊神社も消失しましたが、その後現在の地に遷宮されました。その後、元興寺の鎮守社としての役割が強まっていくことになります。明治時代には村社として認められ、さらに神饌幣帛料供進社となるなど、徐々に重要な位置づけを持つようになりました。

祭祀と信仰

御霊神社には、疫病が流行していた頃、神輿を道路に設けて疫魔の侵入を阻止する信仰がありました。この神社は現在でも70余の町と5000軒を超える氏子を抱えており、健康長寿や家運繁盛、さらには平和の神として広い信仰を集めています。例祭では、神輿が70の町を2年かけて巡る行事が今も続いています。

祭神と社殿の構成

御霊神社の本殿には主祭神として井上皇后、他戸親王、事代主神が祀られています。また、西神殿には伊豫親王や橘逸勢が祭られ、東神殿には早良親王や藤原広嗣が祀られています。境内には、祓戸社や出世稲荷社、若宮社など、さまざまな神社が点在しており、それぞれ異なる祭神が奉納されています。特に出世稲荷社には、豊臣秀吉ゆかりの神が祀られ、地元の人々からの信仰を集めています。

文化財

この神社には、三十六歌仙を題材にした六曲屏風のような貴重な文化財も残されています。御霊神社はその深い歴史と多様な信仰が融合した神社で、訪れる人々に伝統を感じさせる場所となっています。

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