徳川五郎太

徳川五郎太：短命に終わった尾張藩主

徳川五郎太（とくがわ ごろうた）は、宝永8年（1711年）に生まれ、正徳3年（1713年）にわずか3歳で亡くなった尾張藩の第5代藩主です。

生涯

五郎太は、第4代藩主・徳川吉通の長男として生まれました。母は九条輔実の娘・瑞祥院輔子であり、彼女を通じて後西天皇の血を引いています。また、父方の祖父である徳川綱誠は、第2代藩主・徳川光友と徳川家光の長女・霊仙院千代の息子であり、母方の祖父である九条輔実は豊臣秀吉の甥・豊臣秀勝の血を引いていました。このように、五郎太は徳川将軍家、越前松平家、豊臣家、皇室、五摂家の血を受け継ぐ、非常に高貴な血筋の持ち主でした。

正徳3年（1713年）7月、父・吉通が急逝し、幼い五郎太が家督を継ぐことになりました。しかし、そのわずか2ヶ月後の10月、五郎太自身も3歳という若さでこの世を去ってしまいます。その後、家督は叔父である徳川継友が継承しました。

五郎太は生前には官位を持っていませんでしたが、死後、従三位参議が贈られました。法名は贈三品宰相眞巌院源譽法仙性蓬大居士。

墓所は名古屋市東区筒井の徳興山建中寺にありましたが、第二次世界大戦の空襲で破壊され、現在は位牌が祀られています。

尾張徳川家嫡男の幼名「五郎太」

「五郎太」という名前は、初代藩主・徳川義直の幼名であり、代々の尾張徳川家嫡男に付けられる幼名でした。五郎太と名付けられた人物には、以下の人物がいます。

第2代藩主・徳川光友（光義）
第3代藩主・徳川綱誠（綱義）
第4代藩主・徳川吉通
第9代藩主・徳川宗睦の養嗣子・徳川治行の長男
第20代当主・徳川義知

五郎太は、短命ではありましたが、尾張徳川家の歴史において重要な役割を果たした人物の一人と言えるでしょう。彼の存在は、尾張徳川家の血統の複雑さと、嫡男に与えられる特別な幼名の伝統を物語っています。

参考文献
竹内誠『大系日本の歴史10 江戸と大坂』小学館〈小学館ライブラリー〉、1993年4月。ISBN 4-09-461010-3。 

外部リンク
* コトバンク「徳川吉通」

もう一度検索