必殺シリーズ10周年記念スペシャル 仕事人大集合

必殺シリーズ10周年記念スペシャル 仕事人大集合

『必殺シリーズ10周年記念スペシャル 仕事人大集合』は、1982年10月1日にテレビ朝日系列で放送された、必殺シリーズ10周年を記念した長時間スペシャルドラマです。朝日放送と松竹が共同制作し、藤田まことさんが主演を務めました。この作品は、過去の必殺シリーズに登場した人気キャラクターたちが集結し、ファンにとって特別な作品となっています。

概要

このスペシャルドラマでは、棺桶の錠、知らぬ顔の半兵衛、仕掛の天平など、歴代の有名な殺し屋たちが登場します。各々の殺しの場面では、過去シリーズでお馴染みのBGMが使用され、ファンサービス満載の演出がなされています。初期の企画段階では、念仏の鉄が登場する予定でしたが、最終的には知らぬ顔の半兵衛がその役割を担うことになりました。また、棺桶の錠の出演も当初はありませんでしたが、最終的に追加されています。

物語は『新・必殺仕事人』の最終回で離ればなれになったレギュラーメンバーが再会し、その翌週から放送が開始された『必殺仕事人III』へと繋がる橋渡し的な役割も果たしています。ただし、登場人物の経歴や生死に関しては、過去作品との矛盾点が多く、パラレルワールド的な設定となっています。

最終的な舞台は長崎で、「江戸の仇を長崎で討つ」という言葉に掛けて、物語が展開されます。普段は江戸を離れない中村主水が、本作以降のスペシャルドラマでは様々な場所で活躍するようになるきっかけとなる作品でもあります。

あらすじ

物語は、オランダ商館の一行が江戸に到着した日に始まります。抜け荷の取り締まりを行う同心が殺され、オランダ品を扱う江戸屋という店が襲撃され、店にいた人々は皆殺しにされてしまいます。その手口は人間業とは思えないほど残虐なものでした。

仕事人の伊八は、病気の妻のため鹿蔵に借りていたお金を返しに現れます。大金を手に入れた伊八を、鹿蔵は江戸屋の一件に関わっているのではないかと疑います。しかし、伊八は仕事の詳細を鹿蔵に伝え、疑いを晴らします。その夜、伊八はオランダ商館のカピタンを狙った仕事に向かいますが、カピタンは既に殺されており、伊八はカピタンの従者であるセクンデに銃殺されてしまいます。伊八の仕事に嘘があると見抜いた鹿蔵は、依頼人である通訳の篠原から弔い料を奪いますが、翌朝、鹿蔵の遺体が大川で発見されます。

主水は長崎奉行所への栄転が決まり、せんとりつを連れて長崎へ向かいます。一方、おりくは鹿蔵からの手紙でオランダ人一行が事件に関与していることを知り、鹿蔵の仇を討つため長崎へ向かうオランダ人一行を追います。主水一行は駿州蒲原宿で、足の痛みを訴えるせんのために宿に泊まります。そこで、せんとりつは、屋根から落ちて怪我をした男を治療する謎の整体師、名倉堂与市と出会います。

一方、秀は遠州舞坂で知らぬ顔の半兵衛と裏の仕事をしていました。秀はカピタンの妹であるマリアと出会いますが、渡世人姿の外国人に襲撃され、半兵衛に救われます。その後、秀は加代や主水と再会しますが、油断した隙に与市にマリアを奪われてしまいます。

大坂に到着した主水は、仕掛の天平に誘われ寅拾番会に参加します。そこには、おりくもおり、オランダの抜け荷に関わる角屋宗兵衛とセクンデの殺しを百両で競り落とします。しかし、それは罠で、おりくは主水に協力を求め、鹿蔵の弔い合戦に挑みます。

登場人物

本作では、藤田まことさんと緒形拳さんが共演しており、山田五十鈴さん、森田健作さん、緒形拳さんの3人が揃ったのは『必殺からくり人』以来となります。中条きよしさん、フランキー堺さん、西郷輝彦さんは『恐怖の大仕事』から連続出演しています。しかし、主水、秀、勇次の3人が揃うシーンはありません。また、前週まで放送されていた『新必殺仕舞人』のメンバーは登場しません。

仕事人

中村主水：藤田まことさんが演じます。『新・必殺仕事人』最終回で裏の仕事を辞めていましたが、長崎へ向かう途中で事件に巻き込まれ、仕事人に復帰します。
秀：三田村邦彦さんが演じます。前作で江戸を離れ、半兵衛と裏稼業を続けていましたが、マリアを護るために長崎へ向かいます。
加代：鮎川いずみさんが演じます。前作で江戸を離れ、流浪の身でしたが、主水たちと再会し、長崎へ同行します。
勇次：中条きよしさんが演じます。前作で仕事人グループを離脱後も江戸にいましたが、鹿蔵の敵を討つために、おりくと共に異人団を追います。拷問を受けるが、最終的に復活します。
おりく：山田五十鈴さんが演じます。仕事人の元締で、鹿蔵の仇を討つため、寅拾番会でセクンデ一味の殺しを請け負います。
名倉堂与市：フランキー堺さんが演じます。整体師ですが、実は仕事人で、鹿蔵の養子です。勇次の治療後、セクンデに銃殺されます。
知らぬ顔の半兵衛：緒形拳さんが演じます。秀と裏稼業を続けていましたが、潮時を感じて別れます。
棺桶の錠：沖雅也さんが演じます。過去の熱血漢とは異なり飄々とした性格になっています。勇次を救出した後、マリアとバタビアへ旅立ちます。
仕掛の天平：森田健作さんが演じます。上方の元締・虎の用心棒として登場しますが、セクンデ一味に殺害されます。

その他

元締・虎：藤村富美男さんが演じます。上方の元締で、寅拾番会を主催していますが、セクンデ一味に殺害されます。
鹿蔵：中村鴈治郎さんが演じます。仕事人の元締でしたが、セクンデ一味に惨殺されます。
伊八：常田富士男さんが演じます。鹿蔵の配下の仕事人ですが、セクンデに殺害されます。
中村せん / 中村りつ：菅井きんさん / 白木万理さんが演じます。主水の姑と妻です。
筆頭同心 田中：山内敏男さんが演じます。主水の上司です。
カピタン：リチャード・レッシュさんが演じます。オランダ人で、伊八の標的となりますが、すでに殺害されています。
マリア：スターニャ・ブチンスカーさんが演じます。カピタンの妹で、秀に匿われ、長崎へ向かいます。
妙春尼：宮本毬子さんが演じます。浄泉寺の尼僧で、虎の知り合いです。
セクンデ：アイ・ジョージさんが演じます。本作の黒幕で、残虐な手口で仕事人たちを襲います。
角屋宗兵衛：小松方正さんが演じます。セクンデと組んで悪事を働く商人です。
篠原：亀石征一郎さんが演じます。セクンデや角屋と繋がる通訳です。
美代次：梅津栄さんが演じます。虎の配下の仕事人ですが、裏でセクンデと通じています。
清次：堀内正美さんが演じます。セクンデ一味の悪事に加担しますが、勇次を救出しようとします。
竜：大前均さんが演じます。セクンデ一味に加担しますが、勇次に殺害されます。
親分：千葉保さんが演じます。半兵衛と行動を共にしていた秀に殺害されます。
仲村主水：西郷輝彦さんが演じます。長崎奉行所の同心ですが、主水とは別人です。

殺し技

中村主水：脇差で急所を刺します。
秀：簪で首筋を刺します。
勇次：三味線の三の糸で首を絞めます。
おりく：拳銃を使用します。
名倉堂与市：分銅付きの紐で首を絞めます。
知らぬ顔の半兵衛：剃刀で首を切り裂きます。
棺桶の錠：鏨を変形させた手槍で急所を刺します。
仕掛の天平：花火玉を投げ、爆破させます。
元締・虎：棍棒で撲殺します。
伊八：針で急所を刺します。

スタッフ

制作：山内久司（朝日放送）
プロデューサー：仲川利久（朝日放送）、櫻井洋三（松竹）
脚本：野上龍雄、高山由紀子
音楽：平尾昌晃
監督：工藤栄一
撮影：石原興
照明：中島利男
美術：倉橋利韶
編集：園井弘一
殺陣：楠本栄一
特技：宍戸大全
題字：糸見渓南
制作協力：京都映画撮影所（現・松竹撮影所）
制作：朝日放送、松竹

主題歌

鮎川いずみ「冬の花」

挿入歌

西崎みどり「旅愁」（ノン・テロップ）

脚注

必殺スペシャル DVD-BOX上巻 封入解説書

もう一度検索