応誉

応誉（おうよ）、円蓮社応誉上人雲冏和尚は、江戸時代前期に活躍した浄土宗の僧侶です。彼は筑後国（現在の福岡県南部）の瀬高に位置する来迎寺の住職を務め、後に柳川の良清寺を開山しました。その出自は、戦国時代の武将、蒲池氏に遡ります。

応誉は、天正6年（1578年）の耳川の戦いにおいて、祖父である蒲池鑑盛と父の蒲池統安が、大友氏方として参戦し戦死するという悲劇に見舞われました。さらに、柳川城主であった伯父の蒲池鎮漣が龍造寺氏によって謀殺され、蒲池氏が滅亡するという状況の中、応誉は一族の菩提を弔うため僧侶の道を選んだのです。

その後、応誉は瀬高上荘の来迎寺で第4世住職となり、寺の運営に携わりました。やがて、柳川藩の初代藩主、立花宗茂が正室である誾千代の菩提寺を建立する際、応誉がその任を託され、良清寺を開山することになります。

良清寺の開山後、応誉の子孫は代々その住職を継承し、寺を運営していくことになります。同時に、彼らは蒲池氏の名跡を再興し、立花氏の家老格という重要な地位を占めるようになりました。これは、応誉の功績とその家系が、地域社会において重要な役割を果たしたことを示しています。

また、幕末には、江戸幕府最後の西国郡代となった旗本の蒲池鎮克が、蒲池鎮漣の娘である蒲池徳子の子孫であるという記録があります。さらに、柳川藩士の蒲池鎮之が、蒲池氏の菩提寺である蒲池村の崇久寺で、鎮克と面会した記録も残されています。鎮之は、この応誉の子孫にあたり、現代の歌手、松田聖子（本名・蒲池法子）の高祖父にあたります。このように、応誉の血筋は現代まで受け継がれ、歴史と文化、そして芸能という多様な分野に影響を与え続けています。

応誉の生涯は、戦国時代の混乱期から江戸時代へと移り変わる中で、一族の悲劇を乗り越え、僧侶として、そして家系の再興者として、大きな足跡を残したことを示しています。彼が創建した良清寺は、現在も地域社会において重要な役割を果たしており、その子孫は歴史の中で様々な足跡を残しました。

関連事項：
蒲池氏
良清寺

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