忠類駅

忠類駅（ちゅうるいえき）は、北海道広尾郡忠類村（現在の幕別町字忠類）に設置されていた、日本国有鉄道（国鉄）広尾線の廃止された駅です。国鉄時代の事務管理コードは▲111509でした。

歴史

忠類駅は、広尾線の延伸に伴い、1930年（昭和5年）10月10日に国有鉄道の駅として開業しました。当初は貨物や荷物も取り扱う一般駅でしたが、時代の変化と共にその機能は縮小されました。1982年（昭和57年）9月10日に貨物の取り扱いが廃止され、さらに1984年（昭和59年）2月1日には荷物の取り扱いも終了しました。そして、特定地方交通線に指定されていた広尾線の全線廃止に伴い、1987年（昭和62年）2月2日に廃駅となりました。

駅名の由来

駅名は、その所在地である忠類村の村名に由来しています。この「忠類」という名称は、現在忠類市街地付近を流れるセオトーブイ川に関連するアイヌ語「チウルイトプイ（chiu-rui-topui）」に由来すると考えられています。「チウルイトプイ」は「流れ・激しい・当縁川（の支流）」といった意味を持ち、その前半部分に漢字が当てられたものとされています。

駅構造

廃止される直前の忠類駅は、単式ホーム1面1線を持つ地上駅でした。ホームは線路の南東側、広尾方面に向かって左手に配置されていました。かつては列車交換が可能な相対式ホーム2面2線を有する交換駅でしたが、交換設備の使用が停止された後、駅舎の反対側の線路は側線として残されていました。ただし、1983年（昭和58年）の時点では、かつての交換設備側のプラットホームは既に撤去されていました。また、構内には貨物を取り扱うための側線も存在しました。本線から駅舎側、ホームの切り欠き部分にある貨物ホームへ分岐する貨物側線が1線、そしてかつての交換線であった側線の帯広方から分岐し、広尾方にも繋がる別の側線が1線設けられていました。
駅には職員が配置されており、駅舎は構内の南東側にあり、ホームの中央部分に接していました。

利用状況

忠類駅の利用状況については、1981年度（昭和56年度）のデータが残っています。この年度における1日あたりの平均乗降客数は106人でした。

駅周辺

駅の周辺には、北海道道657号線や国道236号線（広尾国道）といった道路が通っています。また、道の駅忠類、幕別町忠類総合支所、忠類郵便局、忠類支署、忠類中学校、忠類小学校、洞雲寺、白銀台スキー場などが点在しており、地域の生活拠点としての役割を担っていました。バス路線としては、十勝バスの忠類案内所や「忠類」停留所が近くにありました。

駅跡

忠類駅が廃止された後、旧駅構内は忠類村によって買い取られ、1988年（昭和63年）に「交通公園」として整備されました。駅舎は「忠類鉄道資料館」となり、しばらくの間、当時の駅構内の様子が比較的そのままの形で保存されていました。しかし、その後村によって公園を廃止し宅地化する計画が持ち上がりましたが、駅の存続を望む多くの声を受けて、計画は見直されました。結果として、規模は縮小されたものの、駅舎周辺部を中心に存続が決定しました。1999年、2010年、2011年の時点でも保存状態は維持されています。
現在、駅舎やホーム、一部のレール、駅名標などが当時の状態に修復・保存されており、旧駅舎内には料金表や備品が展示されています。また、旧側線跡には、帯広方から順にワム80000形有蓋車（ワム187865）、トラ70000形無蓋車（トラ74718）、ヨ6000形車掌車（ヨ7908）の3両が連結された状態で静態保存・展示されています。現在の保存エリアでは、レールはホームの端で途切れていますが、その先にも線路跡の様子をうかがうことができます。ただし、ホームは多少老朽化が進んでいるため、見学の際は注意が必要です。

隣の駅

日本国有鉄道 広尾線
上更別駅 - 忠類駅 - 十勝東和駅

関連項目

日本の鉄道駅一覧
特定地方交通線

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