恵庭岳

恵庭岳の概要

恵庭岳（えにわだけ）は、北海道の支笏洞爺国立公園内に位置する活火山で、標高は1,320メートルに達します。1991年に気象庁から活火山として指定されています。この山の名前は、アイヌ語で「エエンイワ」（尖った山）に由来しており、特に山頂の形状から名付けられました。

地史

約4万年前、恵庭岳周辺は巨大噴火によって支笏カルデラが形成されました。これ以降、風不死岳、恵庭岳、樽前山の火山群が噴火を重ね、現在の姿が形作られています。恵庭岳はカルデラの北西部に位置し、急峻な形状が特徴的です。

噴火活動の期間

恵庭岳の噴火は大きく6つの期間に区分されます。

1. 第1期: 約2万年前に火山体の原型が形成されましたが、その後の噴火で覆い隠されました。
2. 第2期: 約1万5千年前に発生した大規模なプリニー式噴火で、10立方キロメートルの火山灰や軽石が噴出されています。これらの軽石は地層年代特定の重要な証拠とされています。
3. 第3期 & 第4期: 東側から南、北側への溶岩流が流れていきました。
4. 第5期: 約2千年前に西側に溶岩流が流れ、オコタンペ湖を形成しました。
5. 第6期: 17～18世紀には水蒸気爆発が続き、山頂に馬蹄形の火口が形成され、崩落が起きました。

活動の過程で、初期は二酸化ケイ素成分の高いデイサイトが一般的でしたが、後期には安山岩に変わっていきました。現在、顕著な噴火活動は見られず、山体は森林に覆われていますが、依然として火口内からは噴気が上がっています。

温泉と金鉱山

恵庭岳周辺には、丸駒温泉やいとう温泉などいくつかの温泉があります。丸駒温泉は1915年から営業されており、湖岸に自然湧出しています。また、恵庭岳の地層には金の鉱脈が存在しており、過去には恵庭鉱山や千歳鉱山が操業されていましたが、戦争の影響で閉山しました。

登山ルート

恵庭岳の登山ルートは複数存在し、ポロピナイコースが整備されています。山頂付近は崩落の危険から立ち入り禁止となっており、登山者は第2見晴台で引き返すことが推奨されています。また、恵庭岳は1972年の札幌オリンピックで滑降コースの舞台としても使用されました。

市境界問題

恵庭岳の市境界は千歳市と恵庭市の間で未解決の状態が続いています。1965年に境界に関する異議が申し立てられたことが発端となり、両市での協議が行われていますが、依然として合意には至っていません。

結論

自然の美しさ、地質学的な価値、さらには登山や温泉といったアクティビティに恵まれた恵庭岳は、訪れる人々に忘れられない体験を提供しています。この地域の魅力を楽しむために、ぜひ訪れてみてください。

もう一度検索