悪の紋章

悪の紋章

『悪の紋章』は、橋本忍によるサスペンス小説であり、これを原作とした映画とテレビドラマである。小説は1962年に『朝日新聞』に連載され、単行本も刊行された。その後、1964年に映画化、1965年と1979年に二度にわたりテレビドラマ化されている。

ストーリー

物語は、警部補・菊地正明が、周囲の裏切りによって悪徳警察官の汚名を着せられ、社会的な地位を失うところから始まる。出所後、彼は稲村清一と名前を変え、自分を陥れた者たちへの復讐を誓う。それは、ヤクザの花井、新聞記者の岩崎、そして裏切った妻の恵美子であった。菊地は、自らが転落するきっかけとなった事件の裏に潜む巨大な悪に立ち向かうことになる。

小説

原作小説は、サスペンス小説としての評価が高い。連載当時から多くの読者を魅了し、単行本も人気を博した。

映画 (1964年)

1964年7月11日に公開された映画版は、モノクロ・スタンダードサイズ・シネマスコープで、上映時間は131分。宝塚映画が制作し、東宝が配給した。監督は堀川弘通。山﨑努が主人公の稲村清一（菊地正明）を演じ、新珠三千代、岸田今日子、佐田啓二など、豪華キャストが名を連ねた。音楽は黛敏郎が担当した。

主なスタッフ

製作：藤本真澄、三輪礼二
原作：橋本忍
脚本：橋本忍、広沢栄、堀川弘通
撮影：逢沢譲
美術：松山崇
録音：中川浩一
照明：石井長四郎
音楽：黛敏郎
編集：黒岩義民
監督：堀川弘通

主なキャスト

山﨑努 （稲村清一 = 菊地正明）
新珠三千代 （浅井節子）
岸田今日子 （高沢光江）
佐田啓二 （高沢重治）
北あけみ （小原恵美子）
大坂志郎 （塚本興信所・松野）
志村喬（塚本興信所所長・塚本）

テレビドラマ (1965年)

1965年10月7日から1966年3月31日まで、NET（現・テレビ朝日）系列で全26話が放送された。毎週木曜22:00～23:00に放映。モノクロ16mmフィルムで制作された。東映チャンネル開局20周年を記念し、第1話が2018年11月に放映された。天知茂が稲村清一を演じ、愛京子、多々良純などが共演した。挿入歌『あきらめ節』は水原弘が歌った。

主なスタッフ

原作：橋本忍
企画：片岡政義、落合兼武
脚本：橋本忍、今村文人、大和久守正
監督：永野靖忠、鈴木敏郎、北村秀敏
音楽：伊部晴美

主なキャスト

天知茂 （稲村清一 = 菊地正明）
愛京子 （浅井節子）
多々良純 （蟹平）
神戸一郎 （花井）
園井啓介 （新聞記者・岩崎）
沢たまき （小原恵美子）
渥美国泰 （日進商事・江口専務）
御木[[本伸介]] （高沢重治）

テレビドラマ (1979年)

1979年1月20日から2月24日まで、フジテレビ系列で全6話が放送された。『ゴールデンドラマシリーズ』枠内での放送。毎週土曜22:00～22:54に放映。九十九里浜、箱根、秋芳洞などでのロケが特徴。古谷一行が稲村清一を演じ、桃井かおり、中条静夫などが共演した。主題歌は三浦洋一とシンガポールナイトが歌う『ぬくもり』。

主なスタッフ

原作：橋本忍
企画：村上光一
プロデューサー：中村敏夫
脚本：国弘威雄
演出：杉田成道
音楽：菊池俊輔

主なキャスト

古谷一行 （稲村清一 = 菊地正明）
桃井かおり （浅井節子）
中条静夫 （松野耕造）
渡瀬恒彦
佐分利信（特別出演）
夏桂子
平田満 （城南署刑事・大西）
三木敏彦 （城南署刑事・入江）
綿引洪 （日進商事専務・江口泰弘）
新田昌玄 （日進商事社長・柴田欣一）


『悪の紋章』は、小説、映画、テレビドラマと様々な形で展開され、多くの人々に愛されてきた作品である。それぞれのメディアで独自の魅力があり、その重厚な物語は、現代においても色褪せることなく、観る者の心を捉える。

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